日帰り手術とは、患者さんが手術当日に来院し、手術を受け、その日のうちに帰宅する手術のことです。日帰り手術の歴史をひも解いてみると、1900年代初頭に、アメリカの産婦人科・麻酔科であるRalph Watersがアイオワ州で日帰り麻酔クリニックを開設したのが先駆けとされています。1980年代にアメリカでは日帰り手術件数は急増しました。本邦では医療保険制度の違いもあり、この分野の発展は鈍いものでしたが、2000年の診療報酬改訂以降、徐々に普及がすすんできました。
日帰り手術は、低侵襲な術式の開発や、短時間作用性で副作用の少ない麻酔薬や鎮痛薬の開発により進歩してきました。患者さんのメリットとしては、早期の社会復帰、早期離床による深部静脈血栓症の予防、高齢者にみられる術後認知機能障害の回避が挙げられます。また、慣れた環境での回復期を過ごすことの精神的な負担の減少も期待できます。