昔、食道・胃・大腸の腫瘍については、胸やお腹を切る外科手術が行われてきましたが、それらの標本と転移の有無を照らし合わせてゆくなかで、一定の条件を満たすものについては内視鏡(胃カメラ、大腸カメラ)で切除しても余命に差が出ないことが明らかとなってきました。お腹を切らず、口からあるいは肛門からカメラを挿入して腫瘍を切除する技術を内視鏡治療と呼びます。
1.消化管ポリープに対する日帰り内視鏡治療(ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR))
2.大きな消化管ポリープや早期がんに対する短期入院内視鏡治療(内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))
*当院は入院施設もあり麻酔科医も在籍していますので、一般的には総合病院で早期がんなどに対して行われる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も積極的に行います。
当院では検査の内視鏡には最新機器である治療用胃カメラEG-840T、治療用大腸カメラを使用しています。また、治療器具として外科手術にも用いる高性能電気メスであるVIO3を導入しており、難易度の高い内視鏡治療にも対応可能です。
内視鏡治療には繊細な内視鏡操作や治療技術が必要です。
当院では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持つ医師が検査・治療を行います。
内視鏡治療は静脈麻酔で多くが行われますが、早期がんの内視鏡治療などでは処置時間が長くなることがあります。
そのような場合には、当院に在籍している麻酔科医師が内視鏡治療の麻酔を担当します。
当院では胃ポリープ、大きさが2cm未満の大腸ポリープについては、日帰りでの内視鏡治療(ポリペクトミー・EMR)を行っております。(検査当日のポリープ切除も対応)また、早期の胃がん、食道がん、2cmを超える大腸ポリープ、早期大腸がんについては、短期入院での内視鏡治療(EMR・ESD)を行います。病院施設というメリットを活かした多様な内視鏡治療を提供いたします。
ポリープ、という言葉は実は定義が広く、大腸の中に飛び出たものはすべてポリープです。大腸のポリープは、腫瘍性のものについては原則切除が推奨されています。
当院では内視鏡中に発見されたポリープについて、患者様の内服薬及びサイズや予想される深達度に問題がなければその場で切除できます。1cm以下で癌の所見を認めないものは、電気メスを使用せずスネア(金属製の輪っか)で掴んでちぎり取るコールドポリペクトミーを行います。一方、癌の所見を少しでも認めるものについては、原則電気メスを用いて、ポリペクトミーあるいは内視鏡的粘膜切除術(EMR)を用いてしっかりとした範囲を切除するようにしています。
腸管内に水を満たして電気メスで病変を切除するUnderwater EMRと呼ばれる方法についても、サイズの大きな横に大きいポリープについて有用ですので、積極的に行います。
大腸ポリープの中での大きなものや横に広がるように形のポリープ、また早期の大腸がんを疑う病変には内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行います。方法としては病変の下にヒアルロン酸などを注入し、切除する層(粘膜下層)を膨らませます。その後に電気メスで端から徐々に剥離し腫瘍を取る治療になります。以前は外科手術を行っていたような病変にESDが出来るようになり、患者さんの負担が軽減されました。
胃十二指腸のポリープ切除について
胃のポリープ切除については、ほとんどの病変において必要はありません。2cmを超えるものや、出血を伴うもの、その他悪性を考えなければならないものは切除を行います。原則日帰りで行いますが、場合によっては短期入院をお勧めする場合があります。原則はポリペクトミーやEMRで行います。大きなものはESDを行います。通院でも可能ですが原則短期入院をお勧めします。また、食道早期がんや十二指腸ポリープ・早期がんについても病変に応じて治療法を選択して行います。