消化管にできた大きな腫瘍を内視鏡を用いてはがし取る技術を言います。
昔は消化管にできた腫瘍はすべて外科医が手術でとっていましたが、どうしても切除の範囲が大きくなりがちでした。
とれた腫瘍を分析してゆくうち、一定の条件を満たすものはリンパ節転移の可能性が極めて低く、内視鏡で局所を切除しても余命に影響がないことがわかってきました。
そのための方法の一つが内視鏡的粘膜下層剥離術と言います。
従来からある内視鏡的粘膜切除術(EMR)より大きな腫瘍に対応することが可能です。
主に静脈麻酔を用いて行います。眠り薬と痛み止めを注射することで眠った状態で行います。
必要に応じて全身麻酔を使用する場合もあります。この場合は切除途中に目が覚めることはありませんが、自分で呼吸することができなくなるため、気管にチューブを置くなどの方法で呼吸を確保します。当院では全身麻酔は麻酔科医が担当します。
原則は入院で行い、処置後の出血等の合併症がないかを確認してから退院となります。
とれた組織は顕微鏡検査で深さなどを確認します。
原則はリンパ節転移を伴わないと予想される腫瘍に対して行いますが、手術前診断の精度を100%にすることは難しく、どのような腫瘍であるかの確認が必要なためです。
その結果によっては、追加で外科手術などをお勧めしなければいけない場合もあります。
当院ではこの処置に習熟した医師が確実に執刀します。
処置に際して不安な点などがあっても丁寧に対応しますので、お気軽にお尋ねください。
文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀