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医療コラム

胃カメラ

胃カメラ検査(胃の内視鏡検査)は、胃がんや食道がんの早期発見だけではなく、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、上部消化管のさまざまな病気の発見や診断・処置に役立つため、消化器内科領域で特に重要な検査の一つです。
ここでは、消化器内科医が推奨する胃カメラ検査の受診年齢や、検査を受けたほうが良い症状や見つかる病気などについて詳しく解説します。胃カメラ検査で見つけることのできる主な病気や、当院の「苦痛の少ない胃カメラ検査」についてもご紹介します。


1. 胃カメラ検査は何歳から受けるべき?

胃カメラ検査は何歳から受けるべきでしょうか?胃カメラ検査の受診推奨年齢や、胃カメラ検査を受けたほうが良い症状等についてみていきましょう。


1.1. 胃カメラ検査の受診推奨年齢は40歳以上から

特に消化器に不調を感じていなくても、40歳以上の方には胃カメラ検査の受診を推奨します。なぜなら、40歳代から胃がんや食がんに罹患する人が増え始め、50歳以上になると胃がんや食がんの罹患率が本格的に増えるからです。胃がんや食道がんは、初期の段階では症状を自覚しづらく、発見が遅れがちです。40歳を過ぎたら、2〜3年に1回のペースで胃カメラ検査を受けることで、病気の早期発見・早期治療につなげることができます
ただし、次のような症状がある方は、年齢に関わらず胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

1.2. 胃カメラ検査の受診を推奨する症状
以下のような症状がある方は、胃や食堂などに何らかの病気が潜んでいる可能性がありますので、年齢に関係なく、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

■ 胃痛、胸痛
■ 便の色がおかしい(黒っぽい)
■ 胸やけ・吐き気
■ 食べ物が飲み込みにくい
■ 体重減少・腹部膨満

その他、以下の生活習慣や背景のある方も、胃がんなどの罹患リスクが高いため、定期的に胃カメラ検査を受けることを推奨します。

■ 検診で食道・胃・十二指腸などの異常を指摘された
■ 飲酒習慣がある
■ 喫煙習慣がある
■ 肥満
■ 胃がんの家族歴がある(身内に胃がんにかかった人がいる)


1.3 ピロリ菌が見つかった方は定期的に胃カメラ検査を

胃内にヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への感染が見つかった方は、1~2年に1回のペースでの定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。ピロリ菌に感染していると、胃粘膜に慢性的な炎症が起き、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気を引き起こすリスクが高くなります。また、ピロリ菌に感染している方では、感染していない方に比べて、胃がんの罹患リスクが5倍になると報告されています。定期的に胃カメラ検査を受けることで、病気の早期発見、早期治療につなげることができます。

2. 胃カメラ検査で見つかる病気等

胃カメラ検査は、上部消化管に起こりうるさまざまな病気の早期発見に有効な検査です。胃カメラ検査で見つかる主な病気などについてみてみましょう。


2.1. ピロリ菌感染の有無

胃粘膜の状態を観察することでピロリ菌の感染の有無を調べることができます。ピロリ菌感染を放置していると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に罹患する場合があります。また、萎縮性胃炎が進行し、その一部が胃がんに進展すると考えられています。したがって、ピロリ菌が見つかった場合には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症リスクや生涯の胃がんのリスクを下げるため、内服薬を処方し、除菌治療をおこないます。

除菌方法は、
・胃酸を抑える薬1種類 (ボノプラザン)
・抗菌薬2種類(クラリスロマイシン+アモキシシリンか、メトロニダゾール+アモキシシリン)
の合計3種類の組み合わせを、1日2回朝夕、7日間服用します。
当院では便利なパック製剤を使用しています。

ピロリ菌を除菌した後も、胃がんリスクがゼロになるわけではありませんので、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。


2.2. 胃がん

胃がんは、症状を自覚しづらいため、発見が遅れがちですが、胃粘膜表面を直接観察できる胃カメラ検査であれば、早期に発見することができます。がんが疑われる部位を見つけた場合は、組織を採取し、がん細胞の有無を調べるために生検に出し、がん細胞がみつかれば確定診断ができます。胃がんというと怖い病気のイメージがありますが、最も初期のステージⅠで早期発見し、適切な治療をおこなうことができれば、5年生存率は90%以上であり、根治が目指せます。


2.3. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍など

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃または十二指腸の粘膜が強度に荒れて、ただれている状態です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍になると、たいていみぞおちの痛みや吐き気、嘔吐、腹部膨満感などの自覚症状があり、ひどいと潰瘍から出血し、吐血やタール便(ドロドロした黒っぽい便)が出ます。しかし中には、潰瘍があっても自覚症状がなく、胃カメラによる胃がん検診で偶然発見されることも少なくありません。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者さまの約80~90%はピロリ菌に感染していることや、ピロリ菌除菌治療によって、1年間の再発率が胃潰瘍で65%→11%、十二指腸潰瘍で85%→6%へ著明に低下することがわかっています。そのため、胃カメラ検査で胃潰瘍や十二指腸潰瘍が見つかった場合は、除菌治療をおすすめします。

3. 胃カメラ検査とバリウム検査の違い

バリウム検査と胃カメラ検査は、いずれも上部消化管内に異常がないかを調べる検査です。

胃カメラ検査は、スコープを胃の中まで挿入し、先端に内蔵したCCDカメラで、粘膜の形態変化(凹凸)や色調変化を直接観察する検査です。カメラを飲みこむことに不安を感じる方がおられますが、初期の小さな病変やわずかな色調変化を発見しやすく、疑わしい部位が見つかったときは同時に生検をおこない、確定診断することができます。

一方、バリウム検査は、バリウムという造影剤と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、レントゲン(X線)で撮影して消化管の様子を見る検査です。炎症や潰瘍、腫瘍による粘膜表面の凹凸や狭窄(せまくなっているところ)などを白黒の印影で映し出します。バリウム検査は、自治体や会社の検診などに付いていることもあるので、受けやすい検査ではありますが、カラーでの観察ができないことや、ごく初期の小さな異常を見つけにくいなどのデメリットがあります。また、万が一異常が見つかった場合には、胃カメラでの精密検査が必要になります。二度手間にならないためにも、初めから胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

4. 痛みの少ない検査方法はある?

かつて胃カメラ検査は「痛い・苦しい」というイメージがありました。しかし、検査機器や検査技術の発達によって、現在では痛みや苦痛の少ない検査方法を選択できるようになっています。

胃カメラ検査にともなう痛みや苦しさが心配な方は、「経口内視鏡検査」に鎮静剤(眠り薬)を併用することで、うとうとと眠っている間に苦痛なく検査を受けることができます。もちろん個人差はあるものの、カメラ挿入時の嘔吐反射や、喉の痛み・圧迫感を感じることはほとんどありません。

ただし、鎮静剤を使用したくないという場合は、カメラを鼻から挿入する「経鼻内視鏡検査」を選択し、苦痛を軽減する方法もあります。鼻から挿入する経鼻内視鏡検査のほうが、覚醒下でも嘔吐反射を起こしにくく、管も細いため、喉を通過するときの圧迫感や痛みも少なくて済むことがほとんどです。ただ鼻腔内が狭い人の場合、カメラが鼻の中を通るときに痛みが生じることや、カメラの挿入ができないことがあるため、最適な検査方法については医師と相談しましょう。

5.当院の胃カメラ検査について

当院の胃カメラ検査は、最新鋭の内視鏡システムとAIによる見落とし防止システムなどの最新技術を導入し、専門医・指導医の資格を持った医師による正確な検査・診断を実施するとともに、鎮静剤を併用しながら、患者さまにとって苦痛の少ない胃カメラを提供しています。

5.1. 最新の内視鏡システムを利用

当院の内視鏡システムは富士フィルム社製のELUXEO 8000システム(2024年6月発売)を導入しています。メインの内視鏡は先端部径5.8mmという極めて細い高画質細径カメラを採用しており、操作性にも優れています。さらに、富士フィルム社製の「AIによる見落とし防止システム:CAD EYE」を組み合わせることで、正確な診断結果を導きます。検査中に疑わしい部位を発見し、組織採取や処置が必要になった場合も、先端部径9.8mmという極めて細い処置用内視鏡を使用し、安全かつ迅速に対応します。

5.2. 専門資格を持った医師が検査を実施

日本消化器内視鏡専門医・指導医の資格を持ち、総合病院での経験が豊富な医師が検査・治療をおこないます。

日本消化器内視鏡専門医とは、医師の中でも消化器内視鏡診療に関する豊富な学識と経験を有する医師に与えられる資格で、取得するためには日本消化器内視鏡学会に5年以上所属し、消化器内視鏡学会が定めた研修や実技経験を積み、試験をクリアすることが求められます。

日本消化器内視鏡指導医は、専門医の資格を取得後、さらに3年経過し、高い診療能力と若手医師に対しての専門医取得のための指導がおこなえる能力を有する医師に与えられる資格です。

国内で胃カメラ検査を実施している医師の全てがこの専門医・指導医資格を持っているわけではないため、専門医・指導医による検査が受けられるのは、当院の大きな強みの一つです。

5.3. 検査後はリカバリー室で回復してから帰宅

当院では、鎮静剤を投与し眠った状態で楽に胃カメラ検査が受けられます。鎮静剤を使用した方は、検査後、リカバリー室でゆっくりお休みいただき、はっきりと意識が回復してから帰宅していただけます。

6. まとめ

胃カメラ検査は、胃などの上部消化管の病気の早期発見に欠かせない重要な検査です。上部消化器の病気は自覚症状がないことも多いため、不快な症状がない方でも、40歳を過ぎたら胃カメラ検査を定期的に受けることをおすすめします。胃カメラ検査を受ける間隔は、症状の有無やピロリ菌感染の有無によって個人差があるので、医師とよく相談しましょう。
胃カメラ検査といえば、苦しい・痛いというイメージを抱きがちですが、当院では、苦痛の少ない胃カメラ検査を提供しています。最新鋭の検査機器、経験豊富な医師による手技、検査方法の工夫によって、楽に検査を受けていただけますので、胃カメラ検査に不安のある方や、過去の検査で苦しい思いをした方も、気軽にご相談下さい。

2024.06.01

バリウム検査と胃カメラ検査は、どちらも上部消化管の情報を読み取ることのできる重要な検査です。胃がんや胃潰瘍、ポリープなどの病気の発見に役立つもので、企業の定期健康診断や自治体のがん検診として受けられる機会も増えています。

本記事では、「バリウム検査と胃カメラ検査のどちらを受ければいい?」という悩みを持つ方のために、バリウム検査と胃カメラ検査の違いや検査の方法、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

1. バリウム検査と胃カメラ検査の違い

バリウム検査と胃カメラ検査は、いずれも上部消化管内に異常がないかを調べる検査です。食道から十二指腸までの上部消化管を観察することができ、胃がんなどの病気を早期に発見するために重要です。現在、胃がんを直接診断するための検査として、科学的根拠に基づいて国が推奨しているのは、バリウム検査と胃カメラ検査の2つです。

バリウム検査と胃カメラの違いについて詳しくみていきましょう。

1.1.バリウム検査はレントゲンを用いて胃を見る

バリウム検査は、バリウムという造影剤と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、レントゲン(X線)で撮影して消化管の様子を見る検査です。胃や食道の粘膜は、そのままではレントゲンに映らないため、造影剤を飲んだ状態で身体の向きを変えることで、食道や胃の壁に造影剤を広げ、上部消化管の粘膜表面の凹凸(炎症や潰瘍、腫瘍など)や狭窄(せまくなっているところ)などを映し出します。正常な胃であれば、粘膜のヒダが整っていますが、粘膜上に異常があると、凹凸部分にバリウムが溜まってその影が観察できます。

バリウム検査は、正式には「上部消化管X線検査」または「上部消化管造影検査」といいます。一般的には「胃X線検査」や「胃レントゲン検査」と呼ぶこともあります。

バリウム検査のがん診断精度は約70〜80%といわれており、胃がんを早期発見することにより胃がん死亡率を40~50%減少させる効果が認められています。

胃がんのほかに、胃潰瘍(いかいよう)、胃ポリープ、胃憩室(いけいしつ)、胃粘膜下腫瘍、その他胃隆起性病変や食道がん、食道潰瘍、食道ポリープ、食道アカラシア、十二指腸潰瘍、十二指腸憩室などの病気の発見につながります。

1.2.胃カメラ検査は内視鏡を用いて胃の中を直接見る

胃カメラ検査は、スコープを胃の中まで挿入し、先端に内蔵したCCDカメラで、粘膜の形態変化(凹凸)や色調変化を直接観察する検査です。正式名称を「上部消化管内視鏡検査」といいます。

胃カメラを口から入れる場合には、オエっとなる嘔吐反射を抑えるため、あらかじめ喉に麻酔をしたり、あるいは鼻からカメラを挿入する方法、鎮静剤を併用して眠った状態で検査をおこなうなど、楽に検査が受けられるように工夫することもあります。

胃カメラ検査では、粘膜上にまだ凹凸のないごく初期のがんであっても、わずかな色調変化から異常を検出することができるため、がんなどの病気の早期発見に高い効果を発揮します。

胃カメラ検査による早期発見によって、胃がんによる死亡リスクを61%減少させる効果が認められています。

胃がんのほかに、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無、胃アニサキス、逆流性食道炎、食道がん、バレット食道、十二指腸がんなどの病気の発見につながります。

2.バリウム検査のメリット・デメリット

胃がん検診として、胃カメラ検査と共に推奨されているバリウム検査ですが、メリットとデメリットが存在します。バリウム検査のメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。


2.1.バリウム検査のメリット

バリウム検査の主なメリットは、

  • ・胃カメラ検査よりも費用が安い
  • ・病変の形や大きさ、位置、硬さなどを客観的に把握できる
  • ・検査が受けやすい

の3つです。

バリウム検査は、費用が保険適用外で1万円前後と胃カメラ検査に比べて安く、自治体によっては無料で受けることもできます。

また、バリウム検査は、病変の形態・大きさ・位置や硬さを客観的に把握することも可能なため、内視鏡検査の短所をカバーすることができます。

検査時間も10分程度と短時間であり、比較的簡単に受けられるので、会社の定期健康診断に付加されていることも多く、受診機会が得られやすいのもメリットです。

2.2.バリウム検査のデメリット

バリウム検査のデメリットは、

  • ・胃粘膜の色調やわずかな凹凸の判別がしにくい
  • ・体質によって検査の精度が劣ることがある
  • ・バリウムが飲みにくい
  • ・バリウムが排出できないと腸閉塞のリスクがある
  • ・放射線被ばくがある

などがあります。

バリウム検査では、白黒のX線写真で判定をするため、胃粘膜の色調が確認できないことや、凹凸の少ないタイプのがんは判別しにくいことがあります。また、胃液が多い人の場合、胃液が胃粘膜へのバリウムの付着を邪魔することで、検査精度が低下することがあります。そのほか、バリウム自体が飲みにくいことに加え、発泡剤の効果を持続させるため、込み上げるゲップを堪える必要があります。バリウム検査は比較的簡単で短時間で終わるものですが、途中でゲップをしてしまうと、再度発泡剤を飲まなくてはなりません。また、バリウムを誤嚥してしまうリスクがあることや、検査後に下剤を服用してバリウムを体外に排出しきらなくてはならないため、頻回にトイレに行くことで行動が制限されることがあります。バリウムを完全に排出しないと、便が腸に詰まる「腸閉塞」という重篤な状態に陥るリスクもあります。

バリウム検査では、人体に影響のない範囲ではあるものの、放射線被爆をともなうこともデメリットの一つです。また、バリウム検査の結果、精密検査が必要と判断された場合には、追加で胃カメラ検査が必要になります。

3.胃カメラ検査のメリット・デメリット

胃カメラ検査にもメリットとデメリットがあります。
胃カメラ検査のメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。

3.1.胃カメラ検査のメリット

胃カメラ検査のメリットは、

  • ・放射線被爆の心配がない
  • ・小さな病変を発見しやすい
  • ・粘膜の凹凸・形状・色まで確認できる
  • ・観察と同時に生検ができる
  • ・鎮静剤や喉の麻酔を併用すれば苦痛なく検査が受けられる

などです。

胃カメラ検査では、バリウム検査のように放射線被爆の心配がありません。消化管内部に挿入したカメラで直接粘膜の詳細な観察ができ、視野もカラーのため、初期の食道がんや小さな病変の発見や粘膜上の凹凸や形状、色も確認することができます。また、観察中に疑わしい病変を発見したときは、その場で組織を採取し生検に出すことができるなど、得られる情報が多いのが大きなメリットです。

胃カメラを挿入するときの不快感や不安感も、鎮静剤や喉の麻酔を適宜併用することで、苦痛を軽減し、楽に検査を受けることができるのも胃カメラの利点です。

3.2.胃カメラ検査のデメリット

胃カメラ検査のデメリットは、

  • ・胃カメラ挿入による粘膜からの出血や穿孔(せんこう)のリスクがある
  • ・カメラ挿入時の嘔吐反射
  • ・麻酔を使用する場合、麻酔によるアレルギーのリスクがある
  • ・鎮静剤を使用した場合、検査当日は車や自転車の運転ができない
  • ・費用が比較的高い

などです。

胃カメラ検査では、きわめて稀ではありますが、胃カメラが粘膜を傷つけ、出血や穿孔などの合併症を起こすリスクや麻酔薬に対するアレルギー症状を起こすリスクが存在します。

また、胃カメラを飲みこむ際に嘔吐反射が起こりやすい方がおられますので、その場合は苦痛の軽減を目的に鎮静剤を併用します。鎮静剤の成分によって眠気や目がかすむなどの影響が出ることがあるため、当日は運転や精密な作業ができないので注意しましょう。

費用面でも、胃カメラ検査はバリウム検査と比較するとやや高額である傾向があります。

4.検査を受けられない場合もある?

バリウム検査も胃カメラ検査についても、検査が受けられない場合があります。検査を検討する際は、以下に該当しないか確認しましょう。

4.1.バリウム検査を受けられない方

バリウム検査は、妊娠中または妊娠の可能性のある方や、バリウムや発泡剤へのアレルギーがある方、自分で体位が変換できない方、嚥下(飲み込む)機能に障害のある方、検査前72時間に排便がなく便秘の状態の方は受けることができません。また、体重が概ね130㎏以上の方も、検査機器の耐荷重を超えるため、受けることができません。そのほか、糖尿病の方や循環器、呼吸器、消化器に大きな病気のある方は、検査を受ける前に医師の判断が必要になる場合があります。

4.2.胃カメラ検査を受けられない方

胃カメラ検査を受けられないケースは少ないものの、喉の病気のためにカメラを挿入できない方や、重度の呼吸不全でカメラの挿入で酸素濃度が極端に下がり得る方など全身状態が極端に不良の方は適応がありません。

5.バリウム検査と胃カメラ検査のどちらを選べばいい?

バリウム検査と胃カメラ検査を選べるのであれば、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。バリウム検査は比較的受けやすく、消化器全体のバランスを把握することにおいてはメリットがありますが、白黒のレントゲン画像で判断するため、粘膜上のわずかな凹凸や色調変化を捉えることができません。その点胃カメラ検査であれば、消化管粘膜を直接カラーで詳細に観察することができ、万が一、疑わしい部位が見つかった場合でも、その場で組織を採取することができるなど、一回の検査で得られる情報が多く、ごく初期の胃がんや食道がんの発見にもつながります。

「胃カメラは苦しそう」「痛そう」というイメージから、胃カメラ検査を受けることに対して強い不安がある場合も、嘔吐反射が出にくい経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)や、鎮静剤の併用を選択頂けますので、自分に合った方法を選ぶことで楽に胃カメラ検査を受けることができます。

6.まとめ

バリウム検査と胃カメラ検査は、共に胃がん検診として国が推奨している検査です。検査を受けるにあたっては、それぞれにメリットとデメリットが存在することや、検査方法の違いを知った上で選択するようにしましょう。どちらの検査でも、妊娠中の方や大きな病気にかかったことのある方など、検査が受けられない場合がありますので、心当たりのある方は事前に医師に相談するようにしましょう。

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