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鼠径ヘルニア(脱腸)は何科を受診すればよい?受診のタイミングも解説

太ももの付け根あたりにピンポン玉のようなふくらみができる鼠径(そけい)ヘルニア。脱腸とも呼ばれるこの病気は、一度発症すると自然治癒することはなく、治療するためには外科手術が必要です。

では、鼠径ヘルニアの症状に気付いた場合は、何科を受診すればよいのでしょうか。

今回は、鼠径ヘルニアを発症した時に受診すべき診療科や、受診すべきタイミングについて詳しく解説します。

1. そもそも鼠径ヘルニア(脱腸)とは

鼠径(そけい)ヘルニアとは、「鼠径部」と呼ばれる太ももの付け根の筋膜の一部に穴が開き、本来腹腔内にある小腸や大腸などの組織が外に飛び出してしまう病気です。別名、「脱腸」と呼ばれることもあります。

鼠径部の皮膚のすぐ下に腸の一部が飛び出してくるので、柔らかくぽっこりしたふくらみができます。ごく軽度の鼠径ヘルニアでは、痛みなどの症状がともなわないことも多く、ふくらみの部分を手で押したり、仰向けで横になったりすると、お腹の中に戻っていきます。しかし、排便やくしゃみ、重いものを持つなどの動作や長時間の立ち仕事などでお腹に圧力がかかると、再びふくらみがぽっこりと出てきます。

放置していると、だんだんふくらみが大きくなってきて、鼠径部のツッパリ感や違和感、痛みなどの症状が出たり、便の通りが悪くなることによって便秘になったりすることもあります。

一度鼠径ヘルニアになると、自然治癒することはなく、医療機関での治療が必要です。

2. 鼠径ヘルニア(脱腸)は何科を受診する?

鼠径ヘルニアは腸が飛び出してしまう病気で、根治するためには、鼠径部の筋膜に開いてしまった穴を塞ぐ外科手術が必要です。

一般外科、消化器外科を掲げている病院や総合病院、鼠径ヘルニア専門病院などの医療機関を受診しましょう。

医療機関では、鼠径ヘルニアの位置や大きさを医師が診断し、最善の手術方法を選択し、提案します。

鼠径ヘルニアの手術には、開腹しておこなうものや、腹腔鏡を使っておこなうものなどいくつかの方法があります。以前は、数日入院して手術を受けるのが一般的でしたが、近年では、医療機器や技術の進歩により、日帰りでの手術が可能なケースも増えてきています。

こどもの鼠径ヘルニアは小児科外科の領域になりますので、かかりつけの小児科や小児外科のある総合病院にご相談ください。

2.1.     医療機関の選び方のポイント

鼠径ヘルニアの治療のための病院選びでは、患者さんご自身の症状や生活状況に合った医療機関を選ぶことが大切です。

鼠径ヘルニアの治療は、一般外科または消化器外科を掲げた医療機関であれば受けることができますが、病院によって、病院形態や得意とする手技、日帰り手術への対応の可否など、違いがあり、それぞれに特色があります。

まず総合病院では、さまざまな合併症に対応できる体制が整っているため、心臓病や糖尿病などの重い持病がある患者さんの受け入れが可能という利点があります。しかし大勢の医師が所属し、毎日さまざまな病気の手術を受け入れているので、鼠径ヘルニアの手術に特化した病院と比較すると、手術経験が少ないケースもあります。また、日帰り手術に対応している施設が少なく、入院手術が中心になります。

一方、鼠径ヘルニア専門の日帰りクリニックは、鼠径ヘルニア手術の症例数が多く、内視鏡手術などの負担の少ない手術を得意としているため、日帰りを希望する患者さんや、軽症例の患者さんに適しています。ただし、術後は自宅で過ごすことになるため、術後の経過観察で不安を抱く方もおられます。また入院を必要とするような比較的大きい手術には対応できないのが大きなデメリットです。

そして当院をはじめとする消化器外科病院は、消化器領域の手術に特化しているため、症例数が豊富で、内視鏡手術から短期入院をともなう手術まで柔軟に対応することができます。当院では、入院設備も完備しているため、日帰り手術と入院手術の両方に対応しています。そのため例えば、「日帰り手術を予定していたけど、術後の状態次第でやっぱり入院したいかも」という場合でも対応可能です。

このように、鼠径ヘルニアの手術は、医療機関ごとに受け入れ態勢や選択できる治療が異なる傾向があります。できるだけ負担や不安が少なく、希望する治療が受けられるよう自分に合った医療機関を受診しましょう。

3. 鼠径ヘルニアの受診のタイミング


太ももの付け根あたりに「ピンポン玉のようなふくらみがある」「ふくらみが大きくなったり引っ込んだりする」「つっぱり感や痛みがある」などの症状に気付いたら、すぐに受診しましょう。

冒頭でもお伝えしたように、初期の鼠径ヘルニアは痛みもほとんどなく、手で押したり、仰向けになるとふくらみがおなかの中に戻ります。そのため、気になりながらも放置してしまう人が少なくありません。しかし、鼠径ヘルニアは自然治癒することはなく、完治するためには筋膜の穴を閉じる外科手術が必要です。この手術は、症状が軽いほど身体への負担が少なくなるため、早期発見・早期治療がとても重要です。

鼠径ヘルニアの治療をせずに放置していると、嵌頓(かんとん)という深刻な状態になることがあります。これは、ふくらみの部分が戻らなくなり、腸閉塞を起こすような命にかかわる状態です。嵌頓を起こすと、患部が熱を持って硬くなり、激しい痛みに襲われ、緊急手術が必要になります。できるだけ負担の少ない手術で完治できるよう、早めの受診をおすすめします。

4. まとめ

鼠径ヘルニア(脱腸)は、鼠径部の筋膜に穴が開き、腸が飛び出してしまう病気です。一度発症すると、自然治癒することはないため、外科手術で治療する必要があります。

鼠径ヘルニアの治療は、消化器外科や一般外科で受けることができます。これらの診療科を受診するにあたっては、総合病院、鼠径ヘルニア専門クリニック、消化器外科病院などの医療機関それぞれの特徴を理解し、患者さん自身が希望する治療が受けられる医療機関を選択することが大切です。近年では、軽症の鼠径ヘルニアであれば日帰りで手術できるケースも増えており、治療を開始するタイミングが早いほど、患者さんへの負担も少なく治療することができます。鼠径ヘルニアが疑われるような症状がある場合は放置せず、早めに受診し、早期に治療しましょう。

この記事を監修した人

三賀森 学

西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 COKU 消化器外科部長/医学博士

  • 資格:
  • 日本外科学会外科専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医
  • 日本ヘルニア学会評議員

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