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外科・消化器外科における専門医資格

手術をお考えの際に、執刀医がどのような専門医資格を持っているかを確認されることもあるかと思います。

今回は、鼠径ヘルニア(脱腸)や胆のう手術に関わる、外科・消化器外科領域における専門医制度について解説したいと思います。

専門医の資格は多くありますが、消化器外科領域では細分化された領域が多いため、3階建ての専門医構造になっています。

外科 専門医 消化器外科 専門医

1.外科専門医

多くの医師は、卒後2年間の初期研修医を終了後に自分の専門科を決定します。消化器外科や心臓血管外科、呼吸器外科などの外科系に進むことを決めた人は、まずは「外科専門医」を目指します。これが1階部分にあたります。一昔前までは、自身で病院を決めて研修して外科専門医試験を受けていましたが、2018年より日本専門医機構による新専門医制度が開始され、専門研修プログラムを受けることで外科専門医の取得を目指すようになりました。外科の基本的な知識や手技を学んで試験に合格すれば、おおよそ卒後7年目で「外科専門医」が取得できます。

また「外科指導医」というものもあり、こちらは認定施設での十分な期間と複数の論文発表が必要となり、最短でも卒後17-8年は取得にかかります。

2.消化器外科専門医

消化器外科医が次に目指す専門医資格は、「消化器外科専門医」です。ここが2階部分になります。サブスペシャリティとよばれて、外科専門医より一段階上の資格です。消化器外科専門医試験の受験資格には、指定修練施設での規定年数の修練と、規定症例数の診療経験が必要となります。また、消化器外科に関する論文発表が筆頭1編、共著2編以上と学会発表3件と学術活動の実績も必要となります。そのほか、学会や教育集会の参加などの要件を満たすと、受験が可能となります。試験は、消化器外科領域全般にわたり、総論・上部消化管・下部消化管・肝胆膵脾の4領域に分けて出題され、70%以上の正答率で合格となります。

地域や大学によりキャリアの進み方に若干の違いがありますが、消化器外科専門医取得後に病院のスタッフとして後輩の指導をはじめることが一般的でしょうか。つまり、消化器外科専門医の取得はレジデント(専修医)終了のようなイメージでもあります。そこからは上の3階部分の資格を目指します。

なお、「消化器外科指導医」という資格もあり、専門医取得後に十分な症例数や発表などの業績が認められれば取得できます。

3.内視鏡外科技術認定医や肝胆膵高度技能専門医など

消化器外科のキャリアで3階部分にあたる高次専門医として、「内視鏡外科技術認定医」「肝胆膵外科高度技能専門医」「食道外科専門医」などがあります。消化器外科専門医は経験症例や学会参加などの実績と試験が取得の要件ですが、3階部分の内視鏡外科技術認定医や肝胆膵外科高度技能専門医は、術者としての多くの経験症例に加え、実際の手術ビデオの審査が必要となります。両資格とも、執刀開始から終了までのフルビデオを編集なしで評価され、合格が決まります。つまり、これらの試験の特徴は、実際に手術の技術が評価されるということです。内視鏡技術認定医の合格率は2023年で各領域全体の平均は31%、肝胆膵高度技能専門は受験資格のハードルの高さもあり2011年~2022年で約500名程度の狭き門となっています。

◎ 当院の手術執刀医の専門医資格

当院で手術を行う我々も多くの資格をとるべく研鑽を積んできました。資格というと知識だけでとれるイメージがあるかもしれませんが、消化器外科領域において3階部分の高次専門医までとるためには、技術も必要となります。私も大塚Drも「外科専門医」「外科学会指導医」「消化器外科専門」「消化器外科指導医」を取得しており、大塚Drは「内視鏡外科技術認定医」、私は「肝胆膵外科高度技能専門医」を取得しています。ほかにも、各分野で多くの資格を取得するべく努力を行ってきましたのでプロフィールをぜひご確認ください。

鼠径ヘルニア(脱腸)や胆のうの手術を行う当院外科医の専門医資格 

専門医資格の意義として、資格をとるためにさまざま工夫や反省を行ってきた経験が細かなところまでこだわった手術を行うことにつながるのではないかと思います。みなさんに安心して鼠径ヘルニア(脱腸)や胆のうの手術をうけていただけるように、これらの経験を活かしたいと思います。

  文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器外科部長 三賀森 学

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