2024年12月5日~7日に福岡県の福岡市で開催された第37回日本内視鏡外科学会総会に発表と司会のために参加してきました。
内視鏡外科学会とは、腹腔鏡手術が始まった際に創立された学会です。消化器外科や呼吸器外科、泌尿器科、産婦人科など様々な診療科が低侵襲な手術を求めて腹腔鏡手術での可能性を議論します。近年はロボット手術に関するトピックも盛んになっています。鼠径ヘルニアの分野でも年々腹腔鏡手術の割合は高まっており、2021年の内視鏡外科学会のアンケート調査では約6割が腹腔鏡手術で行われているとされています。
さて、今回発表では鼠径ヘルニアの口演のセッションで「TEPとTAPPの長所を使い分けて術式の選択を行う当院の治療成績とこだわり」というタイトルで発表していきました。
TEPとTAPPの両術式のメリット・デメリットを考え、患者さんの体型や鼠径ヘルニアのタイプや大きさで術式を使い分けることで手術時間の短縮が得られたという結果を発表しました。多くの病院からの発表では外科のトレーニングとしてレジデント(専修医)に行ってもらうことが多いため、手術時間も長くかかっている現状があるようですが、当院では私と大塚Drの二人で行っているため手術時間の中央値は約30分以上短くなっています。若手外科医への教育はとても大切なことですが、患者さんの負担になってもいけないので鼠径ヘルニアのハイボリュームセンターとして貢献が可能なことを考えていきたいと思います。
また「腹壁ヘルニア」のセッションで司会を担当させていただきました。近年は腹壁ヘルニアでも腹腔内にメッシュを留置するIPOMから腹壁内にメッシュを留置する方法へと大きく方法がシフトしています。腹壁内にメッシュを留置する方法の一つにeTEPという方法があります。腹腔内合併症が少ない方法ではありますが、手術時間がかなり長くなるというデメリットもあります。各施設導入が始まっておりその工夫が見られました。また腹壁ヘルニアの手術は疼痛が比較的強いことが多いのですが、慢性疼痛を軽減する工夫に関しての発表もありました。学会では各施設のこだわりや工夫などを聞くことができて大変勉強になります。
会期中に以前に勤務していた同僚の先生たちと食事会を行いました。大変な手術や緊急手術などで多くの時間を一緒に過ごした先生たちと当時の思い出や近況などたくさん話ができました。食事は関サバが本当においしかったです。豚骨ラーメンも食べました。
学会で得た知識を日々の診療にアップデートしてよりよい治療を提供できるようにしていきたいと思います。
文責 西宮敬愛会病院 消化器外科部長 三賀森 学