低侵襲治療部門COKU – 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門「COKU」

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低侵襲治療部門COKU

大腸カメラ前日の食事

内視鏡検査前の食事は何が食べられるの(・・?

こんにちは。看護師の金光です。

大腸カメラの前日に何をたべればいいの?

私たち看護師は大腸カメラを受ける患者さんへ検査前の食事について説明をしますが、「何を食べればよいのか、本当に迷うの」という声がとても多いです。

「食物繊維の多いものは控えるとは何?検査食っておいしいのかな?」

「家族が大腸カメラを受けるからできれば食事を作ってあげたいけど、何がつくれるのかな」などと色々なお言葉をいただきました。

COKUには

料理が得意な看護師がいます。使える食材があれば何でも作れるよと心強い言葉をもらいましたので使える食材リストを渡してみました。

するとどうしたことでしょう。素敵なメニューがたくさん出来上がりました。

そこで今日はその中から

メニューをいくつかご紹介しますね。

大腸カメラ前日の食事(自炊編①)

大腸カメラ前日の食事

朝食:トースト・バナナ・リンゴの皮なし・コーヒー

昼食:親子丼・お豆腐のお味噌汁

間食:カステラ・紅茶

夕食:豆腐ハンバーグのデミグラスソースがけ・マッシュポテト・お豆腐のお味噌汁・あつあつ白ご飯

お酒はビール350ml程度で飲みすぎないでくださいね。

食後のデザート:バニラアイス

大腸カメラ前日の食事(外食バージョン)

お忙しい方向けご飯 の外食バージョン

朝食:ソーセージエッグマフィン・ハッシュドポテト・コーヒー

昼食:かまたまうどん かしわ天トッピング (ショウガ・ゴマ・ねぎは抜きで)

おやつ:コンビニプリン(生クリームがのっていないものがおすすめ)

夕食:お寿司 たい・ヒラメ・マグロ・サーモン・カンパチ・卵(わさび・ショウガ・海苔は控えて)

かまたまうどん
プリン
サーモン

お食事はゆっくりと良く噛んで美味しくお召し上がりくださいね。

大腸カメラで不安や緊張もあるなかですが。こんなものも食べていいよ!(^^)!となれば少し心が軽くなるのでは。

また、順次メニューを考えてお伝えしていきますね。

ドクターズインタビュー

ドクターズインタビューに、主任部長の大塚と消化器外科部長の三賀森、消化器内科部長の嶋吉が取材していただいた記事が掲載されていますのでお知らせさせていただきます。

当院の低侵襲治療部門の紹介や、鼠径ヘルニア(脱腸)のトピックス、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)のトピックスも患者様にわかりやすくインタビューしていただきお答えしています。

よろしければぜひご一読ください。

ドクターズインタビュー:西宮敬愛会病院(大塚正久・三賀森学・嶋吉章紀)
内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD)について

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とは

 消化管にできた大きな腫瘍を内視鏡を用いてはがし取る技術を言います。
 昔は消化管にできた腫瘍はすべて外科医が手術でとっていましたが、どうしても切除の範囲が大きくなりがちでした。
 とれた腫瘍を分析してゆくうち、一定の条件を満たすものはリンパ節転移の可能性が極めて低く、内視鏡で局所を切除しても余命に影響がないことがわかってきました。
 そのための方法の一つが内視鏡的粘膜下層剥離術と言います。
 従来からある内視鏡的粘膜切除術(EMR)より大きな腫瘍に対応することが可能です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療方法

①横に広がるタイプの腫瘍を確認します。

②食道・胃に対して行うときは電気メスで腫瘍の周囲に焼き印を付け、切除の目印とします。大腸においても境界がわかりにくい場合は行うことがあります。

③ 病変の下にヒアルロン酸などを注入し、切除する層(粘膜下層)を膨らませます。

④ 電気メスで端から徐々に剥離してゆきます。

⑤ 一括切除(病変を分割せず、一枚板で取ること)を行い、必要に応じて傷口の血管を処理して終了となります。

 主に静脈麻酔を用いて行います。眠り薬と痛み止めを注射することで眠った状態で行います。
 必要に応じて全身麻酔を使用する場合もあります。この場合は切除途中に目が覚めることはありませんが、自分で呼吸することができなくなるため、気管にチューブを置くなどの方法で呼吸を確保します。当院では全身麻酔は麻酔科医が担当します。
 原則は入院で行い、処置後の出血等の合併症がないかを確認してから退院となります。

 とれた組織は顕微鏡検査で深さなどを確認します。
 原則はリンパ節転移を伴わないと予想される腫瘍に対して行いますが、手術前診断の精度を100%にすることは難しく、どのような腫瘍であるかの確認が必要なためです。
 その結果によっては、追加で外科手術などをお勧めしなければいけない場合もあります。

 当院ではこの処置に習熟した医師が確実に執刀します。
 処置に際して不安な点などがあっても丁寧に対応しますので、お気軽にお尋ねください。

文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀

大腸ポリープ切除術

大腸ポリープとは?

 大腸ポリープ、という言葉は実は定義が広く、大腸の粘膜由来の細胞が大腸の中に飛び出たものはすべてポリープです。
 大腸ポリープは、腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分かれます。切除したものを顕微鏡で見たときに、腫瘍でない細胞と比べて顔つきが変わってしまっているのが腫瘍性です。腫瘍性のなかで、著しく顔つきが悪いものや周囲への浸潤傾向があるものは癌(悪性腫瘍)と判断されます。ただ単に細胞が増えすぎて出っ張っているものは過形成といい、過形成性ポリープというものが大腸にはよくできます。手足にできたタコなども過形成の一種です。

切除するべきポリープは?

 腫瘍性のものについては6mm以上のものは切除が強く推奨されています。5mm以下のものについては、弱く奨励するが経過観察も許容するとされ、奨励のトーンは弱くなります。当院では、将来の癌への進展を予防する意味や、後述するCold polypectomyの登場で切除後の出血率が非常に下がったため、原則切除を行います。
 非腫瘍性のもの、特に過形成性ポリープは原則切除が不要です。しかし、腫瘍性のもののなかに過形成性ポリープと見た目が紛らわしものがあり、切除して顕微鏡で判断することもあります。出血や腸重積の原因になるものも切除が必要です。
 当院では内視鏡中に発見されたポリープについて、患者様の内服薬及びポリープのサイズや予想される深達度に問題がなければその場で切除できます。

大腸ポリープ切除の方法

・Cold snare polypectomy

 10mm以下で癌の所見を認めないものは、電気メスを使用せずスネアと呼ばれる金属の輪っかを押し当て、締め上げることで掴んでちぎり取る「Cold snare polypectomy」(コールドスネアポリペクトミー)を行います。電気メスを使わないため切除直後は少量の出血がありますがすぐ止血され、術後出血や穿孔(腸に穴があくこと)はかなり稀ですので、近年積極的に用いられています。
 以前、5mm以下のポリープはとらなくてよい、とよく言われました。しかし、Cold snare polypectomyの登場で、(合併症がほとんどないので)5mm以下でも腫瘍性のポリープならとっておいたらよい、という考え方が主流になっているように思います。

内視鏡用スネア
スネア(オリンパス おなかの健康ドットコム より引用)

 患者様によっては極めて多数のポリープがあり、出血のリスクなどを考えて一度に取りきらず複数回に分ける場合があります。
 熱を加えないメリットもありますが、その分、ポリープの端からギリギリのところで切ってしまうと、ポリープの細胞が生き残りやすいため、余裕をもって大きめの切除する必要があります。
 当院でのCold snare polypectomyは十分なマージン(余剰)をつけて行い、再発が起こらないように細心の注意を払って行います。

・ポリペクトミー 及び 内視鏡的粘膜切除術(EMR)

 食道、胃、大腸にできた腫瘍を、スネアと呼ばれる金属製の輪っかで掴んで、電気メスで切除する方法です。
 病変の下へ生理食塩水などを注射し病変を浮かせてから、金属の輪で縛って電気メスで焼き切ります。

 生理食塩水などを注射しなくてもよい場合も多く、病変をそのまま金属の輪で縛って電気メスで焼き切ることをポリペクトミーと呼びます。
(このとき、電気を加えずに、縛り上げて物理的にちぎってしまうのが、Cold snare polypectomyです)

EMRの方法

①消化管にポリープを認めます。

ポリープ

②ポリープの下に生理食塩水などを注入して浮かび上がらせ、切ってはいけない筋層から離します。(ポリペクトミーの場合はこれを行わず③に進みます)

粘膜下局注

③スネアと呼ばれる金属の輪をかけて縛り、電気メスの機械で通電することで切除されます。

スネアリング
内視鏡用クリップ
内視鏡用クリップ。オリンパスグループ企業情報サイトより引用

④傷口は潰瘍となります。必要があればクリップ装置を用いて傷口を縫い閉じます。

切除後潰瘍

Underwater EMRについて

 日本語に訳すと「浸水下での内視鏡的粘膜切除術」となります。
 病変を観察するためには、通常腸管内に二酸化炭素を注入して腸を広げますが、それでは病変まで横に伸びてしまうため、大きな病変では金属の輪をかけにくくなります。
 腸管内に水を注入すると、ポリープが見えるだけでなく、切りたい病変が浮かび上がるような形になるため、金属の輪をかけやすくなります。水が入っているので熱によるダメージが及びにくい特性もあります。

Underwater EMRの方法

① 消化管内の模式図です。ポリープを認めます(矢頭)。外側の茶色が筋肉の層、内側が食べ物の通る空間になります。

側方発育型腫瘍

② 空気を過度に抜いた状態では、ポリープのサイズが縮み、切除用の金属の輪でつかみやすくはなりますが、切ってはいけない筋肉の層までつかみやすくなります。

穿孔するスネアリング

③ 空気をたくさん入れると、筋肉は外へ逃げてつかみにくくなりますが、ポリープもいっしょに伸びてしまい、つかみにくくなります。

送気した大腸

④ 内部に水を入れると、筋肉は外へ逃げますが、切りたい層は内側へ浮かび上がる現象が起こります。

浸水法 Underwater EMR

⑤ 金属の輪で掴み、切除します。空気が張った状態で切離するより傷口が小さくなり、傷口を閉じる作業もやりやすくなります。水により、周囲組織への通電の熱ダメージ軽減も期待されます。

浸水法 Underwater EMR スネアリング

 ポリープの切除の方法の一部をご説明しました。
 色々な工夫がされるようになってきており、以前よりも大きな病変でも手術に回さず、かつ短時間で処置を終了できるようになってきています。
 一般的に市中病院に回ることが多い比較的大きなポリープの切除術についても、COKUではこれらの方法に習熟した医師が処置を行いますので、安心してご来院ください。

参考文献:大腸ポリープ診療ガイドライン2020 改訂第2版

文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀

第22回日本ヘルニア学会

2024年5月24日~25日に新潟県の朱鷺メッセで開催された第22回日本ヘルニア学会に司会を担当させていただき参加してきました。

新潟県信濃川

私は新潟県に行くのが初めてでとても楽しみにしていました。大阪や兵庫と比べると肌寒い気温でしたが、街の雰囲気はとても落ち着いており、朝早く起きて散歩すると信濃川河口の新潟湾ではとても気持ちのよい風が吹いていました。

第22回日本ヘルニア学会

さて、今回TEPのセッションで司会を担当させていただきました。演者の先生方からはInterparietal herniaの症例をTEPやKugel法で治療された報告や、肝硬変による難治性腹水を伴う巨大鼠径ヘルニアに対してTEP法を行った報告など興味深いものばかりでした。朝早いセッションでしたが、多くの方にも来ていただき、TEP法を普段から行っている演者の先生方と議論ができました。

学会参加中にはノーカットビデオセッションというフルビデオで「TAPP法」「TEP法」「Lichtenstein法」の3術式を議論しながら討論するという発表を聞いてきました。当院ではいずれの術式も行っており、剥離層や細かな注意点などを再度確認してきました。

また会期中は、大阪で一緒に働いていた先生方など多くの先生方とお話する機会がありました。ヘルニア手術などの情報を共有してさらに知識をアップデートし、日常の臨床に少しでも役に立てるようにしていきたいと思います。

文責 西宮敬愛会病院 消化器外科部長 三賀森 学

胃カメラや大腸カメラで治療が必要な病変が見つかった場合の費用について説明します。

・当院で行う内視鏡治療と費用について

 当院は入院施設もあり、治療が必要なポリープや早期癌などが見つかった場合の内視鏡手術を積極的に行っております。
 そこで、内視鏡治療に関する費用について説明させて頂きます。

 費用については公的医療保険である健康保険が適応となりますので、全国一律の基準により算定されます。
 公的医療保険である高額療養費制度もご利用になれます。

 高額療養費制度について (厚生労働省保険局資料へリンク)

 費用の目安については、”こちら” をご参照下さい。
 大腸ポリープについては、当院では大きなポリープにも対応しており大きさや術式による算定が多彩であるため、費用の幅がやや大きい記載となっています。事務より詳細なお支払額などをご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

・大腸ポリープ治療における日帰りと入院の区分について

 あまり大きくない大腸ポリープは、外来での大腸カメラの際にそのまま日帰り「外来」手術で切除できます。
 ある程度サイズが大きい、数が多いなど、その場で処置するのにリスクを伴う病変の場合は、処置後に病室に入って入念な経過観察を行う日帰り「入院」手術あるいは1泊入院での内視鏡手術を行います。

・医療保険について

医療保険について

 民間の医療保険についてよくご質問をいただきます。
 医療保険の中には、日帰り「外来」手術は手術給付金などの支払いの適応外、日帰り「入院」手術であれば支払いの対象になる場合があります。あるいは、給付倍率が日帰り「外来」手術と日帰り「入院」手術で異なる場合があります。
 ご加入されている医療保険により異なりますので、不明な点がある場合は、一度ご確認をお願いいたします。

鼠径ヘルニア手術の費用と保険について

・鼠径ヘルニア(脱腸)手術に対する公的医療保険

鼠径ヘルニアの手術は公的医療保険である健康保険が適応されます。

当院は病院施設であり、国から定められた短期滞在手術基本料3で算定しております。

鼠径ヘルニアの方が、腹腔鏡下ヘルニア修復術を受けられた場合には、3割負担の方で約15万円の窓口負担が発生いたします。

公的医療保険である高額療養費制度もご利用いただけます。負担の上限額は、年齢や所得によって下記の図のように異なりますので、詳細をお聞きになりたい方は受付にお声掛けください。

【高額療養費制度を利用される皆様へ】厚生労働省保険局

高額療養費制度の表

・日帰り入院手術について

当院では、鼠径ヘルニア手術を受けていただく患者様には日帰りか一泊入院かをお選びいただいております。(合併症などでこちらから入院をおすすめさせていただく場合もあります)

日帰りで行う手術には、「日帰り入院手術」と「日帰り外来手術」がありますが、当院では「日帰り入院手術」になります。

日帰り入院手術の保険

よくご質問をいただきますが、民間保険の医療保険で、「入院手術だと手術給付金の支払い対象になり、日帰り手術が保障の対象外」という場合があります。当院では日帰り入院手術となりますので、そのような場合には手術給付金の支払い対象となります。また、給付倍率も日帰り手術と入院手術で異なる場合がありますが、当院では入院手術での申請となります。ご加入されている医療保険により異なりますので、ご不明な点がある場合は、一度ご確認をお願いいたします。

血便について

 便をした後、ふと便器を見ると、水が赤く染まっている。あるいはティッシュに血液が付着している。
 非常にびっくりされるかと思います。
 血便が出た場合にどういうことが想定されるか、どうしたらよいか、お話したいと思います。

直ちに受診が必要なケースは?

 血便自体、当日に急いで受診するべき状態と、そうでない状態があります。
 「意識を失った」「めまいがある」「便器の底が血で見えないくらい多量である」「冷や汗をかいている」「血圧が低い」「頻脈である」「倦怠感が強い」「顔色が悪い(真っ青である)」などは大量の出血である可能性があります。いわゆる「ショック」かそれに近い状態の可能性がありますので、急いで医療機関を受診してください。

考えられる出血部位

 血液は腸の中にいる時間が長ければ長いほど黒みを帯びる性質があります。
 鮮血の場合は、肛門付近か、肛門から近い大腸からの出血が想定されます。
 肛門から遠い大腸からの出血は、鮮血というより少し黒みがかっていることが多いです。
 例外として、大量出血の場合、肛門から遠い大腸でも赤みが強い便になります。
 また、十二指腸や小腸からの出血があると、黒色便になることが多いですが、大量出血の場合は赤に近い色になる場合があります。

考えられる病気

・腹痛を伴っている場合

 腹痛を伴う血便でよくあるのは虚血性腸炎です。
 虚血とは、医学的に「血が足りない」という意味です。何らかの原因(おそらく腸管内の圧力が便秘などで高いことが一因)で腸の粘膜が虚血に陥り、短期間で改善しますが、虚血によって傷んだ粘膜から出血します。
 初めは腹痛と下痢で始まり、数時間以内に血便に変わることが多いです。
 血便の量は多く見えますが、病院で採血をするとヘモグロビン値(血の濃さを表し、出血が多いと薄くなります)はあまり変わらないことが多く、代わりに炎症反応を認めます。
 CTで下行結腸~S状結腸が腫れていることが多く、特徴的です。

 潰瘍性大腸炎Crohn(クローン)病など、いわゆる炎症性腸疾患による血便もあります。
 原因不明に腸管の粘膜に炎症が起き、粘膜がボロボロになって出血し、腹痛も起こります。
 近年増加傾向で、従来若年の病気とされていましたが、高齢発症も増加しています。
 
 細菌性腸炎による血便もあり得ます。いわゆる食中毒です。
 カンピロバクター腸管出血性大腸菌赤痢アメーバなどが原因となります。
 食あたり→血便の流れは有名ですが、血便に至る食あたりはあまり多くありません。
 抗菌薬による抗生物質起因性出血性大腸炎も、抗生物質により有害な菌が大腸内で優位となって発症し、鑑別として重要です。

大腸憩室


 少ないパターンとして腸管子宮内膜症や、出血を伴う憩室炎などがあります。
 腸管子宮内膜症は腸に子宮内膜症が起きる病気で、生理の周期に合わせて血便が出ます。
 憩室炎とは、大腸の憩室(図にあるような、大腸の壁から飛び出した無数の部屋で、内視鏡でみると凹んだ穴のように見えます)に炎症が起きることです。
 多くの憩室炎は出血を伴いませんがまれに出血も伴って来られるケースがあります。


 これらについては、腹痛が落ち着いてから大腸内視鏡検査を行います。
 大腸癌による血便ではないかの除外が必要だからです。
 潰瘍性大腸炎やCrohn病については、禁忌の状況がなければ数日以内に大腸内視鏡を行うことが多いです。

・腹痛を伴わない血便

 腹痛を伴わない血便で最も重大なものはやはり大腸癌・ポリープです。
 大腸癌は組織がもろいため、便でこすれて出血し、見た目に赤い便となる場合があります。

 次にやっかいなものは結腸憩室出血です。先ほど出てきた憩室から大量に出血し、ヘモグロビン値も低下することが多いです。
 この場合炎症は伴わず腹痛はありません。便器の底が見えないような大量の血便が何度も出るため、救急受診が必要です。

 痔核出血は頻度の高い疾患です。内痔核は肛門痛なく出血し、鮮血のことが多いです。
 内視鏡や肛門鏡でないと痔の存在はわかりませんが、痔があるからといって痔核出血とは限らず、血便があれば全結腸内視鏡を受けることをお勧めしています。

 放射線性直腸炎もよく見かける疾患です。前立腺癌や子宮頸癌など、直腸の近くの癌に対する放射線治療後で、直腸に放射線が当たることで血管に異常が起き、出血します。
 アルゴンプラズマ凝固法(APC)と呼ばれる装置で焼きつぶす治療を行います。

 小腸・大腸の毛細血管拡張症も血便を来します。
 非常に小さな病変ですが止血術をしなければ自然に止血しないため、だらだらと出続けます。
 勢いのある出血ではないので、血便というより黒色便が症状になることも多いです。

 NSAIDs(消炎鎮痛剤)による大腸病変も出血を来すことがあります。
 例えば狭心症や脳梗塞などの血管がつまる病気を起こした方に、再発予防で出されるアスピリンですが、消化管に悪影響を起こす場合があり、全消化管に病変が出現し得ます。
 もちろんアスピリンがだめだと言っているのではなく(むしろ非常に有用な薬剤です)、副作用として認識しなければいけないという意味です。

 上記のように、血便という症候だけで考えられる病気は多岐にわたります。
 血便をはじめ、心配な症状がある方は、ぜひ当院へご相談下さい。

文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀

便潜血陽性と言われたら?

・便潜血検査とは?

便潜血容器

 消化器内科医をしていると、非常に多くの方が「便潜血検査」でひっかかって来院されます。
 「検便」と言われる場合もありますが、検便だと便の何を調べているのか(菌を調べているのか、虫卵を調べているのかなど)がわからないので、医療者の間では便潜血検査と表現します。
 潜血、という言葉は、目に見えない血という意味で使います。
 便の中に目に見えないような量の血液が混じっていないかを調べる検査を、便潜血検査と言います。
 目で見て明らかにわかるような血液が混じっている場合は「血便」と呼んで区別します。

・便潜血陽性の場合に想定される病気は?

 便潜血陽性で初めに考えるべき疾患はやはり大腸癌です。
 便潜血陽性の方のうち、2-3%程度が大腸癌と診断されます。
 約33-50人に1人はほっておくと命に係わるということです。
 数字は小さく見えますが決して軽視するべきではありません。
 また、便潜血検査を受けた方のおよそ2人に1人は大腸ポリープを指摘されます。
 これも放置すると癌化のリスクがあります。
 その他、痔核のこともありますし、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患のこともあります。
 お尻が切れたからだと自己診断せず、必ず精密検査を受けて下さい。
 病変を見つけやすく、条件によってはその場で治療も可能な大腸内視鏡検査をお勧めします。

・大腸癌なら、どうせ治らないのだから、大腸カメラしなくてもいい?

 近年、大腸癌の治療は飛躍的に進歩しています。約9割の方が内視鏡や外科的に切除可能です。
 仮に転移していても、切除が可能なら転移巣・原発巣とも切除が検討されます。
 化学療法も進歩していて他の癌より効きやすいです。
 進行も比較的穏やかなものが多いです。
 つまり、大腸癌は「闘える」癌ですので、とにかくは「大腸癌を見つける」ことが重要です。
 精密検査を受けないことこそ、切除不能進行大腸癌の温床です。

・2回の検査のうち、1回だけ陽性なら大丈夫?

 1回だけ陽性の時点で、「便潜血陽性」です。扱いが変わるわけではありません。
 2回とも陽性の方は、「便潜血陽性」の人の中でも病気の確率が高い人たち、というだけです。
 便潜血検査は感度の高い検査ですが、9割程度です。仮に大きな大腸癌があったとしても、毎回便潜血陽性になるわけではありません。
 私自身も、進行直腸癌症例で便潜血が陰性であったケースを経験しています。
 お尻から指を入れると触れる大きな癌があっても、便潜血が陰性のこともあり得るということです。

・大腸内視鏡は痛い?はずかしい?

 当院では鎮静剤(麻酔)を用いて検査を行いますし、浸水法を用いて、丁寧に腸の走行を整えながら挿入しますので、疼痛を最小限に抑えることが可能です。
 必要に応じ鎮痛剤の注射も併用できますがほとんどのケースで必要としません。
 専用の透けない検査パンツを使用していますので、お尻が見えるのは内視鏡を入れる瞬間だけです。
 詳しくは以下のリンクで、大腸カメラの詳しいながれと、当院の大腸内視鏡の特徴をご説明しています。
 通常は総合病院に紹介になるようなサイズのポリープについても、当院で対応可能です。

文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀

ピロリ菌と萎縮性胃炎

・ピロリ菌について

ヘリコバクターピロリ

 正式名称はヘリコバクター・ピロリと呼びます。
 ヒトの胃内に寄生する菌です。
 幼い頃に主に家庭内感染で口から摂取されることで感染が成立します。大人になってからは感染しにくいといわれています。
 上下水道などのインフラが整っていなかった時代に幼少期を過ごした方々に感染している方が多くいらっしゃいます。
 ピロリ菌が引き起こす病気は多数ありますが、やはり「胃癌」「胃・十二指腸潰瘍」が代表です。
 最近の研究で、ピロリ菌が陽性の方は、85歳までに男性では17.0%、女性では7.7%が胃癌にかかると推定されています1)。
 ピロリ菌の陽性率は1950年以前に生まれた方は40%以上で、1970年代で20%、1980年代で12% 2)と、年代が下がるにつれ低下しますが、生涯の胃癌のリスクを考えると無視できない数字です。
 胃・十二指腸潰瘍については、ピロリ菌だけが原因ではありませんが、ピロリ菌が陽性である方の場合は、除菌治療をすると再発率が胃潰瘍で65%→11%、十二指腸潰瘍で85%→6%へ著明に低下3)します。胃・十二指腸潰瘍治療において、ピロリ除菌は必須といえます。
 胃癌は早期であれば根治可能です。
 40歳以上の方で、今までに一度も内視鏡検査を受けたことがない方は、胃癌の有無を含め一度検査をお受けになることを強くお勧めいたします。

ピロリ菌の除菌の薬

・ピロリ菌の除菌の方法

 ピロリ菌は細菌ですので、抗生物質を用いて除菌することができます。
 除菌の方法は、
・胃酸を抑える薬1種類 (ボノプラザン)
・抗菌薬2種類(クラリスロマイシン+アモキシシリンか、メトロニダゾール+アモキシシリン)
の合計3種類の組み合わせを、1日2回朝夕、7日間服用します。

当院では便利なパック製剤であるボノサップ、ボノピオンを使用します。ボノサップはボノプラザン+クラリスロマイシン+アモキシシリン、ボノピオンはボノプラザン+メトロニダゾール+アモキシシリンです。
 主な副作用は下痢です。ほとんどは、腸内細菌が殺菌されることによる浸透圧性の下痢(抗菌薬関連下痢症で最も多い)で、水分を多めにとって対応します。しかし、7-8回/日に及ぶようなひどい下痢の場合はクロストリジウム・ディフィシルによる特殊な腸炎の可能性もあるためご相談ください。
 
 あとは薬剤性の肝機能障害(薬が体にあわず肝臓の細胞が一部損傷を受けること)、味覚障害などです。
 最も気を付けるべき副作用はアレルギーで、皮膚に蕁麻疹などのできものが広がったケースではすぐに服用を中止し受診していただきます。
 ピロリ菌を除菌した後も胃癌が発生することがあるため、定期的に胃カメラを受けることをおすすめいたします。

・萎縮性胃炎について

 胃のバリウム検査や健診内視鏡などをお受けになった方で、結果報告書に「萎縮性胃炎」と書かれていることがあると思います。
 同様の意味で「慢性胃炎」と書かれていることがあるかもしれませんが、多くの場合は萎縮性胃炎を指しています。
 萎縮性胃炎というと、多くの場合はピロリ菌感染が原因となっています。ピロリ菌が感染すると、胃の粘膜に炎症がおきます。
 粘膜に炎症が起きるというと、概念的でわかりにくいかもしれませんね。
 目に見える「炎症」を例に挙げますと、擦り傷ができたあとに傷口やその周りが少し腫れると思いますが、そういう状態を炎症を起こしていると表現することになっています。
 侵入したばい菌やついた汚れ、傷ついた組織を処理する白血球という細胞が、いろんな物質を出すので、傷口が腫れたり熱を持ったりします。
 胃粘膜に話を戻しますと、ピロリ菌がいる限り、24時間365日、そういう「炎症」が続きます。
 炎症が続くことで粘膜の細胞の一部が脱落し、粘膜が薄くなります。粘膜が薄くなることを「萎縮」と呼び、萎縮性胃炎という名前になりました。ピロリ菌が炎症を起こし続けることで、最終的に、腸のような組織に入れ替わっていきます(腸上皮化生)。
 胃粘膜に限らず慢性炎症が起きている場所、あるいは起きていた場所は、細胞の破壊と再生を繰り返す(繰り返していた)ことにより、癌の発生母地になります。
 ピロリ菌による慢性炎症の場合、DNAのメチル化異常を引き起こすことも発がんの原因とされ、除菌によってメチル化異常は徐々に改善することが分かっています。
 ピロリ菌の除菌後の胃癌は、場合によっては除菌後10年以上を経てから発生することがあります。定期的な内視鏡経過観察期間は諸説ありますが、より早期に胃癌を指摘するため、当院では年に1回の胃カメラによる検査をおすすめします。
 何歳までしたらよいかについては、明確な基準はなく、ご本人のお体の状態と人生観によって、ご相談しながら決めているのが実情と思います。
 近年は早期癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌)であれば内視鏡治療を提案できます。その点も考慮に入れつつ、一人一人の患者様と一緒に方針決定ができればと考えています。

文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀

1) Kawai S, Wang C, Lin Y, Sasakabe T, Okuda M, Kikuchi S. Lifetime incidence risk for gastric cancer in the Helicobacter pylori-infected and uninfected population in Japan: A Monte Carlo simulation study. Int J Cancer. 2022 Jan 1;150(1):18-27.
2) Ueda J, Gosho M, Inui Y, Matsuda T, Sakakibara M, Mabe K, Nakajima S, Shimoyama T, Yasuda M, Kawai T, Murakami K, Kamada T, Mizuno M, Kikuchi S, Lin Y, Kato M. Prevalence of Helicobacter pylori infection by birth year and geographic area in Japan. Helicobacter. 2014 Apr;19(2):105-10.
3) Asaka M, Kato M, Sugiyama T, Satoh K, Kuwayama H, Fukuda Y, Fujioka T, Takemoto T, Kimura K, Shimoyama T, Shimizu K, Kobayashi S; Japan Helicobacter pylori Eradication Study Group. Follow-up survey of a large-scale multicenter, double-blind study of triple therapy with lansoprazole, amoxicillin, and clarithromycin for eradication of Helicobacter pylori in Japanese peptic ulcer patients. J Gastroenterol. 2003;38(4):339-47.

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