鼠径ヘルニアの手術は公的医療保険(健康保険)が適応されます。
当院は病院施設として、国が定める「短期滞在手術基本料3」で算定しており、この制度により術前検査や手術費用、入院費などが包括的に計算されます。
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を受けた場合、自己負担3割の方で窓口負担は約15万円程度となります。
公的医療保険制度のひとつである高額療養費制度も利用可能です。この制度は、医療費の自己負担額が高額になった場合、月ごとの負担上限を超えた分が後日支給される仕組みで、家計の負担を軽減できます。
負担の上限額は年齢や所得により異なりますので、詳しく知りたい方は当院受付にてお尋ねください。
またマイナンバーカードをお持ちの場合は、オンライン資格確認システムにより手続き不要で高額療養費制度が適用され、窓口での支払い額が軽減されます。手術など高額な医療費の支払い時には非常に便利ですので、ご来院の際はマイナンバーカードの持参をおすすめいたします。
当院では腹腔鏡手術・鼠径部切開法のいずれの場合も「短期滞在手術基本料3」に基づき包括計算しています。そのため日帰り手術であっても「日帰り入院手術」となり、入院しても費用差はほとんどありません(食事代や退院処方料は別途必要です)。
具体的な費用目安は以下の通りです(自己負担3割の場合):
これらも高額療養費制度の適用により最終的な支払額が決定されます。
当院では患者様の状態に応じて日帰り手術または1泊入院を選択いただけます(合併症のリスクにより入院をおすすめする場合もあります)。
当院で行う日帰り手術は「日帰り入院手術」に該当し、「日帰り外来手術」とは異なります。そのため、民間医療保険で「入院手術のみ給付対象」とされている場合でも、当院での日帰り入院手術は給付金対象となります。
また、医療保険によっては給付倍率が「日帰り手術」と「入院手術」で異なることがありますが、当院での手術は入院手術扱いでの申請が可能です。詳細はご加入中の医療保険の内容をご確認ください。
日本ヘルニア学会「鼠径部ヘルニア診療ガイドライン」では以下のように記載されています(CQ22-1):
これらは米国・英国のデータですが、術後回復の速さは日本でも共通すると考えられています。また、日本では公的医療保険と高額療養費制度の活用により、患者さん個人の負担差は小さくなります。
そのため、最終的には費用面だけでなく、体への負担や回復期間、社会復帰までの期間も考慮した上で「患者さんごとに最適な手術方法を選ぶこと」が大切だと考えています。
文責 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器外科部長 三賀森 学