2024年11月21日~23日に栃木県の宇都宮市で開催された第86回日本臨床外科学会学術集会に発表と司会のために参加してきました。
関西に在住していると宇都宮に行く機会が乏しく、今回栃木県に数日間まとめて行くのは初めてでとても楽しみにしていました。また3日間の開催でしたので、途中に日光に立ち寄ることもできました。紅葉のピークは過ぎていましたが、真っ赤に色づくもみじは美しく、日光東照宮は神聖な雰囲気が立ち込めており、今回お参りができてとてもよかったです。
さて、今回発表では鼠径ヘルニアの口演のセッションで「鼠径ヘルニアの状態によってTEP法とTAPP法を使い分けて術式選択を行う当院の方針と治療成績」というタイトルで発表していきました。
本邦ではTAPP法が8割を占める中、北欧ではTEP法が8割を占めます。この違いは教育環境もありますが、両術式にはそれぞれリスクとベネフィットがあり、使い分けることで手術時間の短縮が得られたという結果を発表しました。術前の状態の評価は?というご質問を受けましたが、当院ではCTを活用していることをお答えしました。他県では、鼠径ヘルニアのCTが健康保険で認められない(病院の収益にならない)こともあることを座長から質問がありましたが、当院では短期滞在基本料3での算定(鼠径ヘルニアという疾患に対して術前検査や手術料等も含めて費用がきまっている)のためCT検査をしても病院の収益は変わらず、また患者さんの負担もかわりはありません、ということをお答えしました。CT検査をしなくても費用はかわらないのですが、多くの場合有用な情報が得られるので必要と考えられれば行っています。
また「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の私の工夫1」という要望演題(ビデオ)のセッションで司会を担当させていただきました。演者の先生はTEPを多くされている先生方ばかりで、Interparietal herniaの症例をTEP法で治療された報告や、単孔式TEP法の工夫やデバイスのこだわりなどTEP法を多くしている先生方ならではの細かな点まで議論で来てとても興味深いものばかりでした。以前にTEP法の見学にも行かせていただいた医療法人原三信病院の先生との2人座長でお話できたことはとても勉強になりました。
学会後には私用ですが、東京で大学時代の部活の同窓会がありました。みんな十何年ぶりとかになりますが、会ってみると雰囲気は大学時代と変わらず、本当に時がもどったようでした。またみんな様々な診療科にすすんでいます。同窓会なのでほとんどは思い出話ですが、近況などの話では疾患の治療の話などもでて鼠径ヘルニアの治療に関しても小児外科や泌尿器科などの先生からの視点での話はとても為になりました。少し飲みすぎましたがとてもいい時間がすごせました。
学会などでは多くの施設や先生方の治療方針や現状を聞くことができます。毎日同じように診療をしていると視野が狭くなってしまいますので、このような機会を大切にしてアップデートを行いたいと思います。
文責 西宮敬愛会病院 消化器外科部長 三賀森 学