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医療コラム

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2026.10.14

トイレに行く回数が増え、夜中に何度もトイレに起きるといった頻尿の症状はつらいですね。一般的に、朝起きてから寝るまでに8回以上排尿する場合を頻尿といいます。
頻尿の原因は、膀胱や前立腺の病気だけとは限りません。尿路感染症や糖尿病、腎臓病など、思わぬ病気が隠れている可能性もあります。

この記事では、頻尿の代表的な原因やセルフチェックなどの基本的な情報とともに、頻尿が気になる方に向けて、病院を受診する目安、検査方法や治療方法などについて詳しく解説します。

そもそも頻尿とは?

頻尿とは、尿が近く、トイレに行く回数が多い状態のことです。一般的には、朝起きてから寝るまでに8回以上排尿する場合を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は個人差があり、8回以下の排尿回数でも自分自身で回数が多いと感じている場合には頻尿といえます。

また、夜間に排尿するために1回以上起きる状態は夜間頻尿といいます。特に、夜間に2回以上トイレに起きるようになると、睡眠や日中の生活に影響することもあります。そのため、2回以上トイレに起きてしまう場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

頻尿の代表的な原因

頻尿は、膀胱や前立腺の病気だけで起こるわけではありません。尿そのものの量が増えている場合や、糖尿病、腎臓病などの病気が隠れている場合もあります。

ここでは、頻尿を引き起こす代表的な原因について解説します。

  • 過活動膀胱(OAB)

過活動膀胱とは、急に強い尿意を感じ、我慢することが難しくなる病気です。このような症状を尿意切迫感といいます。過活動膀胱では膀胱が過敏な状態になっているため、まだ十分に尿がたまっていなくても強い尿意を感じます。そのため、1回の排尿量が少ないにもかかわらず、何度もトイレに行くようになり、場合によっては尿漏れを起こすこともあります。

  • 前立腺肥大症(BPH)

前立腺は男性にだけある臓器で、膀胱の下で尿道を取り囲むように位置しています。加齢とともに前立腺の細胞が増殖して肥大化し、肥大した前立腺が尿道を圧迫することでさまざまな排尿障害を引き起こす疾患を、前立腺肥大症といいます。頻尿のほか、尿が出にくい、尿の勢いが弱いなどの症状がみられます。50歳頃から加齢とともに増加し、50代男性では20~30%、80歳以上になると80~90%が前立腺肥大症になるとされています。

  • 習慣性頻尿

習慣性頻尿とは、膀胱に尿が十分にたまっていないにもかかわらず、こまめにトイレに行く習慣によって排尿回数が増えている状態です。

外出前や会議の前などに、尿意がなくても念のためトイレに行くことを繰り返していると、少ない尿量で排尿することが習慣になり、排尿の間隔が短くなることがあります。

  • 尿路感染症

尿路感染症とは、尿道や膀胱、腎臓など、尿の通り道に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。代表的なものに膀胱炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)、前立腺炎などがあります。

膀胱炎や前立腺炎などによって膀胱の知覚神経が刺激されると、尿が十分にたまっていなくても尿意を感じやすくなり、頻尿につながります。頻尿のほか、排尿時の痛みや残尿感を伴うこともあります。

  • 膀胱がん

膀胱がんは、膀胱にできるがんです。膀胱がんによって膀胱が刺激されると、頻尿が起こることがあります。膀胱がんの場合、頻尿だけではなく血尿や残尿感、排尿時の痛みなどをともなうことがあります。このような症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

  • 尿崩症(にょうほうしょう)

尿崩症とは、尿を濃縮して体内の水分量を調節する抗利尿ホルモンの分泌や働きに異常が生じ、大量に薄い尿が出る病気です。過活動膀胱などでは1回の排尿量が少なくなってトイレの回数が増えることがありますが、尿崩症では尿そのものの量が増えて、排尿回数も多くなります。また、体から多くの水分が失われるため、強いのどの渇きを感じて多くの水分を飲むようになることも特徴です。

  • 糖尿病

糖尿病では、血糖値が高くなることで頻尿が起こることがあります。血糖値が高くなると、血液中の余分なブドウ糖が尿と一緒に排出されるようになります。このとき、ブドウ糖とともに水分も排出されるため尿量が増え、トイレに行く回数も多くなります。また、尿として多くの水分が失われるため、のどが渇いて水分を多く飲むようになります。

  • 腎疾患

腎臓には、体内の水分量に合わせて尿の濃さや量を調節する働きがあります。腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が低下し、薄い尿が多く出るようになることがあります。また、腎機能が低下すると、日中に排出しきれなかった水分や塩分が夜間に尿として排出されることなどから、夜間の尿量が増える場合があります。そのため、腎疾患では夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿がみられることがあります。

  • 心因性・ストレス

膀胱や尿道に病気がなく、尿量にも問題がないにもかかわらず、ストレスや緊張、不安などの心理的な要因によって頻尿になることがあります。

たとえば、トイレに行けない状況を不安に感じたり、トイレのことが気になったりすると、尿が十分にたまっていなくても何度もトイレに行くようになることがあります。心因性の頻尿では、眠っている間はトイレのことを意識しないため、夜間の頻尿は少ないことが特徴です。

頻尿の症状のセルフチェック

トイレに行く回数が増えたと感じたら、まずは普段の排尿の状態を確認してみましょう。以下のような症状がないかチェックしてみてください。

  • 朝起きてから寝るまでに8回以上トイレに行く
  • 以前と比べてトイレに行く回数が増えた
  • 夜中に何度もトイレに起きる
  • 頻尿によって仕事や外出、睡眠などに支障が出ている
  • 1回に出る尿の量が少ないのに、何度もトイレに行く
  • 急に強い尿意を感じ、我慢することが難しい

排尿回数には個人差があるため、回数だけで頻尿かどうかを判断することはできません。8回以下であっても、以前より排尿回数が増えた場合や、頻尿によって日常生活に支障が出ている場合は頻尿といえます。

頻尿で病院を受診する目安

頻尿があっても、必ずしも病気が原因とは限りません。しかし、頻尿が続いて日常生活に支障が出ている場合は、一度病院を受診して原因を調べることが大切です。特に、次のような症状がある場合には受診を検討しましょう。

  • 頻尿で日常生活に支障が出ている
  • 強い尿意を感じ、我慢することが難しい
  • 尿が濁っている
  • 排尿時に痛みがある
  • 発熱を伴っている
  • 血尿が出る
  • 尿が漏れる

頻尿の検査方法

ここでは、頻尿で病院を受診したときに行われる検査を解説します。

  • 基本的な問診

まずは問診で症状について詳しく伺います。トイレに行く回数だけでなく、いつから頻尿が始まったか、日中と夜間のどちらが多いかなどを細かく問診し、頻尿のタイプを見極めます。また、頻尿以外の症状や、服用している薬、糖尿病などの持病も確認します。

  • 尿検査

尿検査では、尿中の白血球や細菌などを調べ、尿路感染症の有無を確認します。また、尿に血が混じっていないか、糖が出ていないかなどもあわせて調べます。

  • 超音波検査(エコー検査)

超音波検査では、排尿のあとに膀胱内に残っている尿の量を調べます。排尿後も多くの尿が残っていると、残尿感や頻尿につながることがあります。また、男性ではあわせて前立腺の大きさを確認します。

  • 尿流量測定(尿の勢いの検査)

尿流量検査では、専用の機器に普段と同じように排尿し、尿の勢いや排尿量、排尿にかかる時間などを測定します。尿の通りにくさを評価し、排尿障害の程度を評価するために行います。

頻尿の対処・治療方法

頻尿の対処・治療方法は、原因や症状によって異なります。自分でできる対処方法と、医療機関で行われる治療方法についてそれぞれ解説します。

自分でできる対処方法

頻尿は、日頃の生活習慣を見直すことで症状の改善につながる場合があります。まずは無理なく取り組めることから始めてみましょう。

  • カフェインやアルコールを控える

コーヒーやお茶などに含まれるカフェインやアルコールには利尿作用があるため、尿量を増やし頻尿を起こすことがあります。また、カフェインやアルコールは過活動膀胱の症状との関連も指摘されています。頻尿が気になる場合は、カフェインを多く含む飲み物やアルコールをとりすぎていないか、一度見直してみましょう。

  • 身体を冷やさないようにする

身体が冷えると、それが刺激となって交感神経の働きが強くなり、膀胱が収縮しやすくなります。頻尿が気になる場合は、寒い時期には衣服を調節したり、お腹や腰まわりを温めたりして、身体を冷やさないようにしましょう。

  • 排尿日誌をつける

頻尿の原因を把握するためには、排尿日誌をつけることも有効です。排尿日誌には、トイレに行った時間や排尿量、水分をとった時間や量などを3日ほど記録します。これにより、排尿回数や1日の排尿量、1日の飲み物の量など、普段の排尿状態を把握できます。

医療機関での治療方法

頻尿が続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、医療機関で原因を調べ、症状や原因に応じた治療をします。それでは主な治療方法をみていきましょう。

  • 行動療法に取り組む

過活動膀胱による頻尿や習慣性頻尿などでは、行動療法を行うことがあります。

水分を必要以上に多くとっている場合は、適切な量に調整します。また、尿が十分にたまっていないうちにトイレに行く習慣がある方は、排尿習慣を見直すことも大切です。

膀胱訓練では、尿意を感じても無理のない範囲で少しずつ我慢し、排尿の間隔を延ばしていきます。また、膀胱や尿道などを支える骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体操をすることもあります。

  • 処方薬を服用する

頻尿に対しては薬物治療する場合もあります。たとえば過活動膀胱では、膀胱の過剰な収縮を抑える薬などが使用されます。また、前立腺肥大症が原因の場合は、前立腺や尿道の筋肉の緊張をゆるめる薬が使用されます。

  • 手術を行う(前立腺肥大の手術を検討)

前立腺肥大症が頻尿の原因となっている場合や薬による治療で十分な効果が得られないときなどに、手術を検討することがあります。手術では、尿道を圧迫している前立腺の組織を内視鏡で切除したり、レーザーを使って取り除いたりすることで、尿の通りを改善します。当院では、体の負担の少ない低侵襲外科治療(WAVE、Urolift)を行っています。

前立腺肥大症の詳細はこちら

前立腺の大きさや症状、年齢、持病などを考慮し、一人ひとりに適した治療方法を検討します。

頻尿でお悩みなら早めに泌尿器科を受診してみましょう

頻尿は、過活動膀胱や前立腺肥大症だけでなく、尿路感染症や糖尿病、ストレスなど、さまざまな原因によって起こります。頻尿が続いている場合や、睡眠や外出など日常生活に支障が出ている場合には、原因を調べたうえで適切な対処や治療をすることが大切です。西宮敬愛会病院COKU泌尿器センターでは、丁寧な診察を行い、原因に応じた治療をご提案しています。また、前立腺肥大症に対しては薬物療法だけでなく、WAVEやUroliftなど、身体への負担を抑えた低侵襲治療にも対応しています。トイレが近くなった、夜中に何度もトイレに起きるなど、排尿に関するお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

2026.10.14

トイレでふと尿を見たとき、「いつもより白く濁っている」「排尿すると痛い」と気になったことはありませんか。尿の濁りは、食事の影響で尿中に結晶が生じたり、生理の血液やおりものが混ざったりして、一時的に現れることがあります。一方で、膀胱炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)、性感染症など、治療が必要な病気のサインである可能性もあります。見た目だけで原因を判断するのは難しく、尿の濁りが続いたり、痛みや発熱などがともなったりする場合は早めの受診が必要です。本記事では、尿が濁る主な原因や考えられる病気、受診の目安、医療機関でおこなわれる検査などについて、わかりやすく解説します。

尿に白い濁りがあるのは病気のサイン?

健康な尿は、一般的に黄色に近い透明ですが、食べ物の影響や病気などが原因で白く濁って見えることがあります。また、女性の場合はおりものが尿に混じっている場合もあります。尿白濁が何日も続く、または繰り返し起こる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。

尿の濁りの代表的な原因

尿の濁りは、尿中に白血球や細菌、結晶などが増えることで起こります。また、女性の場合、生理の血液やおりものが混ざり濁って見えることもあります。ここでは、尿の濁りの代表的な原因について解説します。

  • 食生活

バナナやほうれん草などシュウ酸(野菜のアク成分)を多く含む食品を過剰に摂取すると、尿中にシュウ酸カルシウムの結晶ができやすく、尿が白く濁る原因になります。また、肉類などの動物性タンパク質の摂り過ぎも、尿中へ排出されるカルシウムの量を増やし、結石形成を抑制する働きのあるクエン酸を減少させる可能性があります。これにより、尿中にシュウ酸カルシウムの結晶が多くなると、尿の濁りにつながります。

  • 尿路の細菌感染

膀胱・腎臓・尿道などの尿路に細菌が感染して炎症を起こすと、尿中の白血球が増える「膿尿」や、細菌そのものによって尿が白く濁ることがあります。症状は感染部位によって異なります。

  • 膀胱炎:排尿時の痛み、頻尿、残尿感などがみられますが、通常は発熱をともないません
  • 腎盂腎炎:発熱、悪寒、背中の痛み、吐き気などが現れることがあります
  • 尿道炎:排尿痛や尿道からの膿の分泌、尿道の痛み・違和感が生じることもあります

これらの尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎・尿道炎など)では、原因菌や症状の重さに応じた抗菌薬による治療が必要です。

  • 血尿

尿路結石や細菌感染による炎症で尿路が傷つくと、肉眼では赤く見えない程度の血液が混ざり、尿が濁って見えることがあります。尿に血が混じる場合や、濁りが続く場合、症状を放置するのは危険であるため、速やかに医療機関を受診することが重要です。

  • 性感染症

性感染症が原因で、尿が濁ることがあります。クラミジアや淋菌による尿道炎では、尿道から出る膿や分泌物が尿に混ざり、白っぽく濁って見えることがあります。排尿時の痛みやかゆみなどをともなうことがありますが、感染していても症状がほとんどない場合があります。

治療せずにいると、女性では感染が子宮内膜や卵管に広がるなどして、不妊につながる可能性があります。また、妊娠中に感染していると、出産時に赤ちゃんへ感染し、結膜炎や肺炎などを起こすことがあります。パートナーが性感染症と診断された場合は、自分に症状がなくても医療機関に相談し、検査を受けましょう。

  • 生理の血液・おりもの

女性では、排尿時に生理の血液やおりものが尿に混ざって濁って見えることがあります。これは尿そのものの異常ではないため、性器のかゆみや排尿時の痛みなどがなく、一時的な症状であれば問題ありません。ただし、生理後も濁りが続く場合は、婦人科または泌尿器科を受診するようにしましょう。

  • 水分不足・脱水

水分が不足すると尿が濃縮され、濃い黄色になったり、濁って見えたりすることがあります。水分を補給しても濁りが続く場合は、尿路感染症などの可能性も疑う必要があります。

尿の濁りが現れる主な疾患

尿の濁りは、尿路感染症や尿路結石など、泌尿器の病気によって現れることがあります。排尿時の痛みや頻尿、発熱などをともなう場合は注意が必要です。ここでは、尿の濁りが現れる主な疾患について解説します。

  • 急性膀胱炎

排尿時に痛みを起こす代表的な病気が急性膀胱炎です。主に尿道から侵入した細菌が膀胱内で増殖し、膀胱粘膜に炎症を起こすことで発症します。女性に多く、頻尿、残尿感、排尿時痛などが代表的な症状で、尿の濁り、血尿などがある場合もあります。排尿痛は、排尿の終わりごろから排尿後にかけて強くなることが多く「終末時排尿痛」と呼ばれます。一度治っても再発を繰り返すことがあります。

  • 尿道炎

尿道炎は、主に性的接触によって淋菌やクラミジアなどが尿道に感染し、炎症を起こす病気です。男性に多く、排尿痛や尿道の違和感、膿などがみられ、尿が白く濁ることもあります。放置すると尿道狭窄(にょうどうきょうさく)を起こし、尿が出にくくなる場合があるので、早めに受診することが大切です。

  • 尿管結石・腎臓結石

腎臓にできた結石を「腎結石(腎臓結石)」、それが尿管に移動したものを「尿管結石」と呼びます。結石が尿管に詰まると、背中から脇腹にかけて激しい痛みや吐き気を生じることがあります。また、結石によって尿路が傷つくと血尿が起こり、尿がピンクや茶色っぽく見えるほか、尿路感染症を併発すると尿が白く濁ることもあります。尿路が塞がれた状態が続くと水腎症(すいじんしょう)や腎盂腎炎など、長期化すると腎機能が低下する可能性もあります。

  • 前立腺炎

前立腺炎は、男性特有の臓器である前立腺に炎症が起こる病気です。急性細菌性前立腺炎は、主に尿道から侵入した細菌が前立腺に感染して起こります。発熱、排尿痛、頻尿、残尿感、尿が出にくいといった排尿障害などが代表的な症状です。尿の濁りや血尿の症状が現れる場合もあります。重症化すると自分で排尿できなくなることがあるため、早めの受診と治療が必要です。

  • 腎盂腎炎

腎盂腎炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱を経て尿管をさかのぼり、腎臓の尿を集める部分(腎盂)や腎臓に感染して強い炎症を起こす病気です。頻尿、排尿痛、残尿感などの膀胱炎症状に加え、発熱や悪寒、腰・背中・脇腹の痛みなどが主な症状です。また、尿の中に白血球や細菌が増えることで、尿が白く濁ったり、血尿がみられたりする場合もあります。

女性は男性より尿道が短く、細菌が侵入しやすいため、女性に発症しやすい傾向があります。膀胱炎を繰り返している人や、免疫機能が低下している人は、重症化や再発のリスクが高くなるため注意が必要です。

  • 腎結核・膀胱結核

腎結核・膀胱結核は、肺などの結核病巣から結核菌が血流に乗って腎臓に達し、尿とともに尿管を通って膀胱へ広がる病気です。結核菌の感染が腎臓だけにとどまっている段階では、自覚症状がないことが少なくありませんが、膀胱へ広がると、頻尿、排尿痛、残尿感、膿尿による尿の濁りなど、膀胱炎に似た症状が現れます。治療せずに進行すると腎機能低下などを起こすことがあります。

  • 前立腺がん・膀胱がん・腎臓がん

前立腺がんは、前立腺の細胞が異常に増殖して発生します。初期には自覚症状がないことが多いものの、尿が出にくい、排尿の回数が増えるなどの症状が現れることがあります。進行すると、血尿や排尿痛などがみられることもあります。

膀胱がんの多くは、膀胱の内側を覆う尿路上皮の細胞ががん化して発生します。喫煙は代表的な発症リスクで、たばこに含まれる発がん物質が尿中に排出され、膀胱粘膜に接触することが発症に関係すると考えられています。代表的な症状は痛みをともなわない血尿で、肉眼で分かる場合と、尿検査で初めて分かる場合があります。頻尿、急な尿意、排尿痛、残尿感などが現れることもあります。

腎臓がんの多くを占める腎細胞がんは、尿をつくる腎実質の細胞ががん化して発生します。初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると、血尿、背中や腰、お腹の痛み、食欲不振、吐き気などが生じることがあります。

これらのがんは、初期症状が現れにくい病気ですが、尿に血液が混じり、尿が濁って見えることがあります。目で見て分かる血尿があったときや、検尿で尿潜血を指摘されたとき、尿の濁りが続く場合は、自己判断で放置せず泌尿器科を受診しましょう。

  • 淋菌感染症

淋菌感染症は、淋菌という細菌が主に性行為によって性器や咽頭に感染することで起こります。男性では、排尿時の強い痛みや、尿道から膿のような分泌物が出ることがあります。膿や分泌物が尿に混じると、尿が白く濁って見える場合もあります。女性では、おりものの増加や生理以外の出血、排尿時の痛み、尿の濁りなどがみられますが、症状がほとんどないことも少なくありません。

治療せずにいると、感染が子宮内膜や卵管まで広がって炎症を起こし、妊娠しにくくなる原因になることがあります。また、妊娠中に感染したまま出産すると、赤ちゃんが産道を通るときに感染し、結膜炎を起こすことがあります。重症化すると視力に影響するおそれもあるため、早めに検査と治療を受けることが大切です。

  • 性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという細菌による性感染症です。主に性行為によって、感染している人の分泌物が性器や咽頭などに触れることで感染します。

男性の場合、排尿痛や尿道のかゆみ、尿道から白っぽい分泌液が出ることがあります。白血球や分泌液が尿に混ざると、尿が白く濁って見えることがあります。女性の場合、無症状の場合が多い傾向があります。症状がある場合は、不正出血やおりものの増加、性交時の痛みなどがみられ、おりものが尿に混ざると、尿が白く濁って見えることもあります。

治療せずにいると、不妊の原因になったり、流産・早産のリスクを高めたりすることがあります。また、出産時に赤ちゃんに感染し、結膜炎や肺炎を起こすこともあります。

尿の濁りと排尿時の痛みが同時に起きるケース

急性膀胱炎や尿道炎、腎盂腎炎、急性細菌性前立腺炎では、尿の濁りと排尿時の痛みが同時にみられることがあります。尿管結石でも、結石が膀胱の近くまで移動した場合や、細菌感染をともなった場合には、排尿時の痛みや尿の濁りが現れることがあります。

一方、尿検査で細菌感染が確認されないにもかかわらず、頻尿や膀胱・尿道の痛みが続く場合は、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の可能性も考えられます。また、膀胱がんなどでも頻尿や排尿時の痛みが現れることがあるため、症状が改善しない場合や繰り返す場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

尿の濁りや排尿時の痛みへの対処方法

尿の濁りや排尿時の痛みは、膀胱炎や尿路結石、性感染症など、さまざまな原因で起こります。食生活の見直しや水分補給などは、原因となる病気の予防に役立つ場合があります。ここでは、日常生活で意識したい対策を解説します。

  • 食生活を改善する

尿の濁りや排尿時の痛みの原因の一つである尿路結石は食事と関係があり、食生活の見直しは再発予防につながります。尿路結石が気になる場合は、次のような点に気をつけましょう。

  • 動物性たんぱく質をとりすぎない

動物性たんぱく質のとりすぎは、結石ができやすくなる一因です。肉類に偏らず、魚や大豆製品、野菜なども取り入れ、バランスのよい食事を心がけましょう。

  • シュウ酸を多く含む食品を控える

シュウ酸は、ほうれん草やたけのこ、ゴボウなどの野菜やチョコレート、ココアなどに多く含まれています。とりすぎると、カルシウムと結びつき結石の原因となることがあります。野菜は水にさらしたり、ゆでて湯を捨てることで、シュウ酸の量を減らせます。

  • カルシウムは適量をとる

カルシウムを含む食品と一緒にとると、腸の中でシュウ酸と結びつき体外へ排出されやすくなります。そのため、カルシウムを食事から適量とることが大切です。

  • クエン酸やマグネシウムをとる

クエン酸やマグネシウムには、尿の中でシュウ酸カルシウムの結晶ができるのを抑える働きがあります。クエン酸を含むレモンやみかんなどの柑橘類、マグネシウムを含む大豆製品や海藻類などを、日々の食事に無理なく取り入れましょう。

  • プリン体やアルコールのとりすぎに注意する

プリン体やアルコールのとりすぎは、体内の尿酸を増やす原因になります。尿酸が尿の中で結晶化すると尿酸結石につながるため、尿酸値が高い方や尿酸結石を指摘された方は注意が必要です。レバーや煮干しなどプリン体の多い食品を控え、飲酒量を減らしましょう。

  • 薄味を心がける

塩分をとりすぎると、尿中に排出されるカルシウムが増え、結石ができやすくなることがあります。料理の味付けは薄味を心がけましょう。

  • 1日1リットル以上の水分を摂る

水分が不足すると尿量が減り、尿が濃くなるため、尿路感染症や尿路結石のリスクを高める可能性があります。食事に含まれる水分とは別に、1日1~1.5リットル程度を目安として、水やお茶などをこまめに摂りましょう。特に汗を多くかいた日は、さらに水分補給を意識することが大切です。

  • 性交渉時にコンドームを使う

クラミジアや淋菌などの性感染症では、尿道に炎症が起こり、排尿痛や尿道からの分泌物などが生じることがあります。感染リスクを減らすため、性交渉のたびにコンドームを正しく使用しましょう。

  • 症状が2~3日続く場合は泌尿器科を受診する

尿の濁りや排尿痛が2~3日続く、または症状が改善しない場合は、一人で抱え込まず泌尿器科を受診しましょう。女性でおりものの変化などがあり、性感染症が疑われる場合は、婦人科でも相談できます。

尿の濁り・排尿時の痛みで医療機関を受診する目安

次のような症状がある場合は、医療機関を受診する目安として考えましょう。

・尿の濁りが続く:尿路感染症や尿路結石の可能性があります。

・排尿時に痛む:膀胱炎や尿道炎など、膀胱や尿道に炎症が起きている場合があります。

・血尿が出る:尿に血液が混じっていると分かる場合はもちろん、健康診断などで尿潜血を指摘された場合も受診が必要です。

・発熱をともなう:腎盂腎炎など、腎臓にまで細菌感染が広がっている可能性があります。

・症状が繰り返される:精密検査が必要になることがあります。

特に、排尿時の痛みや発熱、血尿などの症状をともなう場合は、速やかに医療機関を受診してください。

尿の濁り・排尿痛があるときの検査方法

尿の濁りや排尿痛があるときに実施される一般的な問診・検査の流れを解説します。

  1. 問診

まず問診で症状を確認します。

≪問診で確認する内容≫

・症状が始まった時期

・痛みのあるタイミング

・頻尿・発熱・腰や背中の痛み、血尿などの有無

・尿路感染症や尿路結石の既往

・性感染症の可能性はあるか

  • 尿検査(試験紙法・尿沈渣検査)

問診の後は、尿検査をおこないます。尿の色や濁りを確認するほか、試験紙や顕微鏡を使って、尿中の白血球、赤血球、細菌、結晶などを調べます。尿路の炎症や感染、血尿、結石などを判断する手がかりになります。

③ 追加検査

症状や尿検査の結果に応じて、医師が必要な検査を選択します。

検査主な目的分かること実施する場合
尿培養検査感染の原因を特定する原因菌と、効果が期待できる抗菌薬尿路感染症が疑われる場合
性感染症の検査性感染症の有無を調べるクラミジアや淋菌などへの感染性感染症が疑われる場合
血液検査全身の炎症・腎臓の状態を調べる 炎症の程度や腎機能の状態発熱がある・症状が強い場合など
超音波検査(エコー)腎臓や尿路の状態を調べる結石、尿路の詰まり、残尿など結石や尿の通過障害が疑われる場合
CT検査腎臓や尿路を詳しく調べる結石の位置・大きさ、尿路閉塞など尿路の状態を詳しく確認する必要がある場合

尿の濁り・排尿時の痛みは泌尿器科で治療しましょう

尿の濁りや排尿時の痛みは、膀胱炎や尿道炎、腎盂腎炎、尿路結石など、さまざまな病気によって起こります。見た目や症状だけで自己判断せず、濁りや痛みが続いたり、繰り返したりする場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。特に、高熱や悪寒、腰・背中の強い痛み、血尿、吐き気、尿が出にくいといった症状がある場合は、速やかな受診が必要です。西宮敬愛会病院 COKUの泌尿器センターでは、尿路感染症や尿管結石、排尿障害、前立腺肥大症など、幅広い泌尿器疾患を診療しています。尿路感染症が疑われる場合は、尿検査で炎症の有無などを確認し、症状や原因菌に応じた抗菌薬で治療をおこなっています。膀胱炎を繰り返す方には、その背景に排尿障害や結石などが隠れていないか、超音波検査などを用いて詳しく調べ、状態の正確な把握に努めています。尿の濁りや排尿時の痛みが気になる方は、我慢せずにいつでもご相談ください。

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