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バリウム検査と胃カメラ検査、どっちを受けたらいい?違いやメリット・デメリットを解説

2024.06.01

バリウム検査と胃カメラ検査は、どちらも上部消化管の情報を読み取ることのできる重要な検査です。胃がんや胃潰瘍、ポリープなどの病気の発見に役立つもので、企業の定期健康診断や自治体のがん検診として受けられる機会も増えています。

本記事では、「バリウム検査と胃カメラ検査のどちらを受ければいい?」という悩みを持つ方のために、バリウム検査と胃カメラ検査の違いや検査の方法、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

1. バリウム検査と胃カメラ検査の違い

バリウム検査と胃カメラ検査は、いずれも上部消化管内に異常がないかを調べる検査です。食道から十二指腸までの上部消化管を観察することができ、胃がんなどの病気を早期に発見するために重要です。現在、胃がんを直接診断するための検査として、科学的根拠に基づいて国が推奨しているのは、バリウム検査と胃カメラ検査の2つです。

バリウム検査と胃カメラの違いについて詳しくみていきましょう。

1.1.バリウム検査はレントゲンを用いて胃を見る

バリウム検査は、バリウムという造影剤と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、レントゲン(X線)で撮影して消化管の様子を見る検査です。胃や食道の粘膜は、そのままではレントゲンに映らないため、造影剤を飲んだ状態で身体の向きを変えることで、食道や胃の壁に造影剤を広げ、上部消化管の粘膜表面の凹凸(炎症や潰瘍、腫瘍など)や狭窄(せまくなっているところ)などを映し出します。正常な胃であれば、粘膜のヒダが整っていますが、粘膜上に異常があると、凹凸部分にバリウムが溜まってその影が観察できます。

バリウム検査は、正式には「上部消化管X線検査」または「上部消化管造影検査」といいます。一般的には「胃X線検査」や「胃レントゲン検査」と呼ぶこともあります。

バリウム検査のがん診断精度は約70〜80%といわれており、胃がんを早期発見することにより胃がん死亡率を40~50%減少させる効果が認められています。

胃がんのほかに、胃潰瘍(いかいよう)、胃ポリープ、胃憩室(いけいしつ)、胃粘膜下腫瘍、その他胃隆起性病変や食道がん、食道潰瘍、食道ポリープ、食道アカラシア、十二指腸潰瘍、十二指腸憩室などの病気の発見につながります。

1.2.胃カメラ検査は内視鏡を用いて胃の中を直接見る

胃カメラ検査は、スコープを胃の中まで挿入し、先端に内蔵したCCDカメラで、粘膜の形態変化(凹凸)や色調変化を直接観察する検査です。正式名称を「上部消化管内視鏡検査」といいます。

胃カメラを口から入れる場合には、オエっとなる嘔吐反射を抑えるため、あらかじめ喉に麻酔をしたり、あるいは鼻からカメラを挿入する方法、鎮静剤を併用して眠った状態で検査をおこなうなど、楽に検査が受けられるように工夫することもあります。

胃カメラ検査では、粘膜上にまだ凹凸のないごく初期のがんであっても、わずかな色調変化から異常を検出することができるため、がんなどの病気の早期発見に高い効果を発揮します。

胃カメラ検査による早期発見によって、胃がんによる死亡リスクを61%減少させる効果が認められています。

胃がんのほかに、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無、胃アニサキス、逆流性食道炎、食道がん、バレット食道、十二指腸がんなどの病気の発見につながります。

2.バリウム検査のメリット・デメリット

胃がん検診として、胃カメラ検査と共に推奨されているバリウム検査ですが、メリットとデメリットが存在します。バリウム検査のメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。


2.1.バリウム検査のメリット

バリウム検査の主なメリットは、

  • ・胃カメラ検査よりも費用が安い
  • ・病変の形や大きさ、位置、硬さなどを客観的に把握できる
  • ・検査が受けやすい

の3つです。

バリウム検査は、費用が保険適用外で1万円前後と胃カメラ検査に比べて安く、自治体によっては無料で受けることもできます。

また、バリウム検査は、病変の形態・大きさ・位置や硬さを客観的に把握することも可能なため、内視鏡検査の短所をカバーすることができます。

検査時間も10分程度と短時間であり、比較的簡単に受けられるので、会社の定期健康診断に付加されていることも多く、受診機会が得られやすいのもメリットです。

2.2.バリウム検査のデメリット

バリウム検査のデメリットは、

  • ・胃粘膜の色調やわずかな凹凸の判別がしにくい
  • ・体質によって検査の精度が劣ることがある
  • ・バリウムが飲みにくい
  • ・バリウムが排出できないと腸閉塞のリスクがある
  • ・放射線被ばくがある

などがあります。

バリウム検査では、白黒のX線写真で判定をするため、胃粘膜の色調が確認できないことや、凹凸の少ないタイプのがんは判別しにくいことがあります。また、胃液が多い人の場合、胃液が胃粘膜へのバリウムの付着を邪魔することで、検査精度が低下することがあります。そのほか、バリウム自体が飲みにくいことに加え、発泡剤の効果を持続させるため、込み上げるゲップを堪える必要があります。バリウム検査は比較的簡単で短時間で終わるものですが、途中でゲップをしてしまうと、再度発泡剤を飲まなくてはなりません。また、バリウムを誤嚥してしまうリスクがあることや、検査後に下剤を服用してバリウムを体外に排出しきらなくてはならないため、頻回にトイレに行くことで行動が制限されることがあります。バリウムを完全に排出しないと、便が腸に詰まる「腸閉塞」という重篤な状態に陥るリスクもあります。

バリウム検査では、人体に影響のない範囲ではあるものの、放射線被爆をともなうこともデメリットの一つです。また、バリウム検査の結果、精密検査が必要と判断された場合には、追加で胃カメラ検査が必要になります。

3.胃カメラ検査のメリット・デメリット

胃カメラ検査にもメリットとデメリットがあります。
胃カメラ検査のメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。

3.1.胃カメラ検査のメリット

胃カメラ検査のメリットは、

  • ・放射線被爆の心配がない
  • ・小さな病変を発見しやすい
  • ・粘膜の凹凸・形状・色まで確認できる
  • ・観察と同時に生検ができる
  • ・鎮静剤や喉の麻酔を併用すれば苦痛なく検査が受けられる

などです。

胃カメラ検査では、バリウム検査のように放射線被爆の心配がありません。消化管内部に挿入したカメラで直接粘膜の詳細な観察ができ、視野もカラーのため、初期の食道がんや小さな病変の発見や粘膜上の凹凸や形状、色も確認することができます。また、観察中に疑わしい病変を発見したときは、その場で組織を採取し生検に出すことができるなど、得られる情報が多いのが大きなメリットです。

胃カメラを挿入するときの不快感や不安感も、鎮静剤や喉の麻酔を適宜併用することで、苦痛を軽減し、楽に検査を受けることができるのも胃カメラの利点です。

3.2.胃カメラ検査のデメリット

胃カメラ検査のデメリットは、

  • ・胃カメラ挿入による粘膜からの出血や穿孔(せんこう)のリスクがある
  • ・カメラ挿入時の嘔吐反射
  • ・麻酔を使用する場合、麻酔によるアレルギーのリスクがある
  • ・鎮静剤を使用した場合、検査当日は車や自転車の運転ができない
  • ・費用が比較的高い

などです。

胃カメラ検査では、きわめて稀ではありますが、胃カメラが粘膜を傷つけ、出血や穿孔などの合併症を起こすリスクや麻酔薬に対するアレルギー症状を起こすリスクが存在します。

また、胃カメラを飲みこむ際に嘔吐反射が起こりやすい方がおられますので、その場合は苦痛の軽減を目的に鎮静剤を併用します。鎮静剤の成分によって眠気や目がかすむなどの影響が出ることがあるため、当日は運転や精密な作業ができないので注意しましょう。

費用面でも、胃カメラ検査はバリウム検査と比較するとやや高額である傾向があります。

4.検査を受けられない場合もある?

バリウム検査も胃カメラ検査についても、検査が受けられない場合があります。検査を検討する際は、以下に該当しないか確認しましょう。

4.1.バリウム検査を受けられない方

バリウム検査は、妊娠中または妊娠の可能性のある方や、バリウムや発泡剤へのアレルギーがある方、自分で体位が変換できない方、嚥下(飲み込む)機能に障害のある方、検査前72時間に排便がなく便秘の状態の方は受けることができません。また、体重が概ね130㎏以上の方も、検査機器の耐荷重を超えるため、受けることができません。そのほか、糖尿病の方や循環器、呼吸器、消化器に大きな病気のある方は、検査を受ける前に医師の判断が必要になる場合があります。

4.2.胃カメラ検査を受けられない方

胃カメラ検査を受けられないケースは少ないものの、喉の病気のためにカメラを挿入できない方や、重度の呼吸不全でカメラの挿入で酸素濃度が極端に下がり得る方など全身状態が極端に不良の方は適応がありません。

5.バリウム検査と胃カメラ検査のどちらを選べばいい?

バリウム検査と胃カメラ検査を選べるのであれば、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。バリウム検査は比較的受けやすく、消化器全体のバランスを把握することにおいてはメリットがありますが、白黒のレントゲン画像で判断するため、粘膜上のわずかな凹凸や色調変化を捉えることができません。その点胃カメラ検査であれば、消化管粘膜を直接カラーで詳細に観察することができ、万が一、疑わしい部位が見つかった場合でも、その場で組織を採取することができるなど、一回の検査で得られる情報が多く、ごく初期の胃がんや食道がんの発見にもつながります。

「胃カメラは苦しそう」「痛そう」というイメージから、胃カメラ検査を受けることに対して強い不安がある場合も、嘔吐反射が出にくい経鼻内視鏡(鼻から入れる胃カメラ)や、鎮静剤の併用を選択頂けますので、自分に合った方法を選ぶことで楽に胃カメラ検査を受けることができます。

6.まとめ

バリウム検査と胃カメラ検査は、共に胃がん検診として国が推奨している検査です。検査を受けるにあたっては、それぞれにメリットとデメリットが存在することや、検査方法の違いを知った上で選択するようにしましょう。どちらの検査でも、妊娠中の方や大きな病気にかかったことのある方など、検査が受けられない場合がありますので、心当たりのある方は事前に医師に相談するようにしましょう。

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