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大腸カメラ検査で生じる痛みの特徴や痛みの軽減方法について

大腸カメラ検査は、大腸ポリープや大腸がんなどを発見する有効な手段のため、定期的に受けることがすすめられています。大腸がんは、食生活の欧米化により年々増え、2022年の死亡率は男性が2位、女性が1位となっています。大腸カメラ検査は、下剤を飲むことの不安、検査による苦痛、恥ずかしさなどのイメージからハードルが高い方が多いようですが、大腸がんの早期発見、早期治療には有用な検査です。ここでは、大腸カメラ検査にともなう痛みに焦点をあて、痛みが生じる理由やタイミング、痛みが出やすい方の特徴を紹介し、痛みが少ない大腸カメラ検査について、その検査方法や、痛みをやわらげるポイントについて詳しく解説します。

1.大腸カメラ検査ではどのような痛みが生じるのか?

大腸カメラ検査は、正式には下部消化管内視鏡検査といいます。便潜血検査で陽性になった時や、血便や腹痛が続いている、下痢や便秘を繰り返すなど、何らかの症状がある時に、その原因を調べる目的でおこなう検査です。内視鏡を肛門から挿入し、一番奥の盲腸から直腸まで、内視鏡を引き抜きながら大腸全体を観察します。

大腸カメラ検査では、個人差はあるものの痛みが生じることがあります。どのような痛みが生じるのか、その理由や痛みを生じるタイミングについて説明します。



1.1.大腸カメラ検査で生じやすい痛み

大腸カメラ検査で生じやすい痛みは、主に「腸が押されるような痛み」や「お腹が張るような痛み」です。大腸の長さや形状は個人差があるため、痛みというより腹部の不快感程度の方から、腸がひっくり返るような強い痛みを感じる方まで、痛みの出方や強さも人それぞれです。

1.2.痛みが発生する仕組み

大腸カメラ検査で痛みが発生する仕組みとして、次の2つがあげられます。
ひとつは、大腸は曲がりくねった形状のため、内視鏡を大腸の奥まで挿入する際には、腸を押したり引っ張ったりする必要があり、内視鏡で腸が押されるような痛みが発生します。
もうひとつは、検査中には進行方向を確認したり、腸のひだの裏まで確認したりするために、腸に空気や炭酸ガスなどを入れて膨らませる必要があり、お腹が張ったような痛みが発生します。

1.3.検査中に痛みが発生しやすいタイミング

検査中に痛みが発生しやすいタイミングは、次の部位を内視鏡が通過する時です。

■ 後腹膜に固定されていない「S状結腸、横行結腸」
大腸は後腹膜という臓器に固定されている部位と、固定されていない部位があります。S状結腸と横行結腸は、後腹膜に固定されていないため動きやすく、内視鏡を挿入していく時に腸管がひき延ばされたり押されたりするため、痛みが発生しやすい部位です。

■ 大腸の曲がりが強い「脾彎曲(ひわんきょく)、肝彎曲(かんわんきょく)」
下行結腸から横行結腸へ向かう脾彎曲と、横行結腸から上行結腸へ向かう肝彎曲は、腸管の曲がりが強いため、内視鏡が曲がった腸管にあたることで痛みが発生しやすい部位です。

(図)痛みが発生しやすい部位

2.痛みが出やすい方の特徴

大腸カメラ検査で痛みが出やすい方として、女性、40歳未満、お腹の手術をしたことのある方、腹痛の原因を調べる場合、前回検査時に痛みがあった方、憩室炎(けいしつえん)をしたことのある方が報告されています。この中から、以下について説明します。



2.1.痩せている、あるいは小柄な方

大腸カメラ検査で痛みが出やすいのは、痩せている方や小柄な方で、女性の割合が多いようです。こうした方は、腸がおさまっているおなかのスペース狭く、腸管の曲がり具合が強いため、内視鏡によって押されたり引っ張られたりして、痛みが発生しやすいようです。また、慢性便秘症の方は、腸が長い方やねじれている方が多く、大腸カメラの挿入が難しく痛みが出やすいといわれています。

2.2.腸の炎症などで痛みに対して敏感になっている方

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患のある方は、炎症のある部位に内視鏡が接した時や、腸管が腫れて狭くなり内視鏡の挿入が困難な場合など、大腸カメラ検査では痛みがともないます。そのほか、過敏性腸症候群や感染性腸炎では、腸管の神経が過敏になっていることで痛みが発生しやすくなります。

2.3.おなかの手術をしたことのある方

大腸カメラ検査で痛みが出やすいのは、お腹の手術をしたことがある方です。お腹を開いた手術では約9割、帝王切開や婦人科の手術では半数以上で、腸管同士や腸管と他の臓器がくっつく癒着(ゆちゃく)が起こるといわれています。癒着があると、腸がねじれたり、折れ曲がったり、狭くなったりして、内視鏡を進めることが難しく、ある程度の圧をかけて内視鏡を進める必要があります。そのため、腸が押されたり引っ張られたりすることで、痛みが発生する原因となります。


3.大腸カメラの検査で生じる痛みを防ぐには

どうしたら大腸カメラ検査の痛みを防ぐことができるのでしょうか。最近では、大腸カメラ検査にともなう痛みを防ぐ、さまざまな方法が普及しています。当院でおこなっている方法も含めてご説明します。

3.1.静脈麻酔を利用して検査を受ける

少量の鎮静薬(眠り薬)を静脈内に注射や点滴で投与すると、うとうとしている状態で検査を受けられるため、検査中の痛みや不安感をやわらげることができます。完全に寝てしまう方もいますが、意識下鎮静といって、医師の呼びかけなどには答えることができる程度の状態です。当院でも、大腸カメラでは原則として鎮静剤を使用して、痛みが少ない検査をおこなっています。

3.2.軸保持短縮法と水浸法で内視鏡を挿入する

痛みを軽減する内視鏡の挿入方法として、軸保持短縮法と水浸法があります。それぞれの検査方法は以下に説明します。

■ 軸保持短縮法

軸保持短縮法とは、できるだけ腸管を伸ばさないようにして、内視鏡を腸の奥まで挿入する方法です。大腸のひだを折りたたんで短縮し、大腸の軸を保ちながら、できるだけ腸をまっすぐにして内視鏡を進めます。イメージとしては、長い靴下をはく時に靴下を手繰り寄せて短縮すると、足を入れやすいのと同じです。この方法の場合、内視鏡を挿入する時の腸管が押されたり引っ張られたりする痛みをやわらげることができ、腸管への負担も少なくなります。
軸保持短縮法のバリエーションとして、軸保持短縮法の際に空気を入れずに内視鏡を挿入する「無送気軸保持短縮法」や、軸保持短縮法と以下の「水浸法」を組み合わせた方法など、さらに痛みが少ない挿入方法がひろくおこなわれています。

■ 水浸法

水浸法とは、内視鏡を挿入する際に、腸管に入れる空気やガスの代わりに、水を注入する方法です。直腸からS状結腸に内視鏡の先端から少しずつ水を注入すると、水の重みである程度腸管が固定され、水が充満した分だけ腸管がひろがるため、空気やガスのように腸が伸びることなく、痛みが発生しません。また、水の流れを利用して内視鏡を奥へ進めることができ、挿入がスムースで盲腸への到達時間も短くなります。

3.3. 空気以外の方法で腸を広げる

内視鏡を挿入する際に、空気を入れて視野を確保しますが、空気の代わりに炭酸ガス(CO2)を入れると、検査中や検査後の痛みが少なくなることがわかっています。当院でも、大腸カメラ検査では炭酸ガスを用いていますが、炭酸ガスは空気よりすみやかに腸管から吸収されるため、腸管内に空気が長時間とどまることがなく、お腹が張る感じや痛み、不快感が少なくなります。


4.検査中の痛みをやわらげるポイント

大腸カメラ検査では、痛みをやわらげる検査方法が進んでいますが、さらに苦痛の少ない検査を受けるために、ご自身ができるポイントを紹介します。



4.1.内視鏡の専門医のいるクリニックを選ぶ

痛みが少ない検査方法が開発されたものの、屈曲して伸びやすい大腸に内視鏡を挿入するには、高い技術と豊富な経験が必要です。そのため、内視鏡の専門医のいるクリニックを選びましょう。当院では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持った医師が検査をおこないますので、安心して検査を受けていただけます。

4.2.不安や緊張を緩和させる

心理的なストレスがあると、痛みに敏感になるといわれています。大腸カメラ検査では、下剤の前処置に対する不安、検査時の恥ずかしさ、痛みに対する恐怖感など、さまざまな心理的ストレスが生じるため、痛みをやわらげるには安心してリラックスできる環境も大切です。例えば、プライバシーに配慮されている、施設に清潔感がある、感染対策が万全であるなどは、不安や緊張をやわらげるために必要な環境的要素といえます。

当院では、前処置に対する不安に対応するために、下剤を飲むための専用スペースや、前日からの短期入院が可能です。検査後のリカバリー室もプライバシーに配慮し、ゆっくり休息を取っていただけます。また、内視鏡は体の中に入るため、どのように洗っているのか、消毒や滅菌されているかなど、不安に思うこともあるでしょう。当院では、日本消化器内視鏡学会が推奨する高水準の洗浄機器や滅菌機を導入し、万全の感染対策をおこなっています。

4.3.特段の事情が無い限り麻酔を利用する

以下のような特段の事情がない限り、麻酔を利用して痛みが少ない状態で検査を受けることをおすすめします。大腸カメラ検査では、腸の長さや形状は個人差があるため、内視鏡の挿入に熟達した医師が痛みの少ない方法で上手に挿入しても、痛みが発生することがあるからです。

■ 検査後に自動車や機械の運転をする必要がある場合
麻酔薬を利用することはできないため注意が必要です。検査日の変更を含めて検討しましょう。

■ 各種アレルギーをお持ちの方
アレルギーと診断されている方や、以前に、薬剤や食物で、ジンマシンや発疹、かゆみ、呼吸困難、顔の腫れなどが出たことがある方は、麻酔薬だけでなく、検査中に使用する薬剤が使用できない場合があります。しかし、利用できる他の薬剤がある場合もあるので、必ず事前に医師に相談しましょう。

■ 高齢者や基礎疾患のある方
麻酔を利用すると、呼吸が弱くなったり、血圧が下がったり、予想以上に意識レベルが低下したりするリスクが大きくなります。高齢者や基礎疾患のある方でも、検査前の全身状態や基礎疾患に合わせた適切な麻酔薬を使用できる可能性があります。必ず事前に医師に相談しましょう。

■ 妊娠、授乳中の方
可能であれば検査の時期を延期します。また、麻酔をかけた後の授乳は避けるようにしましょう。


5.まとめ

大腸カメラ検査では、大腸に内視鏡を挿入する際に、腸管が押されたり、引き延ばされたりすることで痛みが生じることがあります。また、腸管に入れる空気によって、お腹が張った感じや不快感をともなう場合があります。特に、臓器に固定されていないS字結腸や横行結腸、屈曲がきつい脾彎曲や肝彎曲は痛みが発生しやすい部位です。もちろん、腸の形や長さは人それぞれ違うため、検査にともなう痛みも個人差がありますが、女性ややせ型の方、おなかの手術をしたことのある方などは、痛みが強く出る傾向にあります。
痛みが少ない大腸カメラ検査には、医師の経験やスキルが重要な部分を占めていますが、静脈麻酔を使用してうとうとしている間に検査をしたり、腸管ができるだけ伸びたり引っ張られたりしない挿入方法などもあります。
当院では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持った医師が、内視鏡の径が細く腸管に負担の少ない最新の機器を使用して大腸カメラ検査をおこなっています。
また、検査の技術だけではなく、患者さまの苦痛を軽減することも重視しました。例えば検査への恐怖心や痛みを和らげるために鎮静薬を使用して、うとうと眠ったまま検査を受けることができるようにしたり、腸管に吸収されやすい炭酸ガスを使用したりすることで「お腹の張り」「痛み」「違和感」を和らげることを実現しました。その他、検査前から検査後まで、院内や短期入院での前処置をはじめ、あらゆる不安に対応してリラックスして検査を受けていただける環境も整えています。

大腸カメラ検査は、大腸がんの予備軍ともいえるポリープや、大腸がんなどの病気を見つけるためにとても有効な手段です。ただし、一度でも痛い経験をすると消極的になりがちです。
当院の「COKU」という名称は、「限りなくゼロに近い」という意味で、検査にともなう心のストレスも体の痛みも限りなくゼロに近づけることを心がけています。当院の痛みの少ない大腸カメラ検査を定期的に受けることが、大腸がん予防と健康維持につながるため、是非一度ご相談ください。

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