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粘り気のある便(粘液便)とは?原因・考えられる病気を解説

便にゼリー状の付着物が混じっている状態を「粘液便」と呼びます。これは腸からの重要なサインです。一時的な腸の刺激で起こることもありますが、腸の炎症や出血など医療機関の受診が必要な病気が隠れていることもあります。

本記事では、粘液便が発生する仕組みから原因、受診の目安、検査の流れや日常生活での注意点まで詳しく解説します。

正常な便と異常な便の違いは?

便の状態は、腸内環境や全身の健康状態を反映するサインです。まずは、便が「正常な範囲」にあるかを確認しましょう。

正常な便の特徴

健康な状態の便は、適度な水分を含みスムーズに排泄されます。一般的には次のような状態の便が正常とされています。

  • 色:黄土色から茶褐色
  • 形状:バナナ状から半練り状
  • におい:刺激が強すぎない
  • 回数:週3回以上、1日3回以下

医学的には「ブリストル便形状スケール(下図)」で、タイプ3から5の状態が理想的とされています。

分類スケール 見た目特徴
硬便1コロコロ便挿絵 が含まれている画像

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。小さな塊がバラバラになっている木の実のような硬い便
2カチカチ便小さな塊が融合したソーセージ状の硬い便
正常便3やや硬い便挿絵 が含まれている画像

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。表面に亀裂が入ったソーセージ状の便
4普通便挿絵, 抽象 が含まれている画像

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。つるりと滑らかなソーセージ状の便
5柔らかい便図形

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。小さな塊がちぎれた状態バラバラでそれぞれは柔らかい
下痢6ドロドロ便挿絵 が含まれている画像

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。形が定まらない崩れた便
7サラサラ便アイコン

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。固形物がない水っぽい便

異常が疑われる便の特徴

腸の機能が低下したり炎症が起きたりすると、便の性状に変化が現れます。

便の性状特徴
粘液便透明・白・黄ばみのあるゼリー状の粘液が付着・混在
水っぽい便腸炎などで生じる水っぽい下痢
硬便・ウサギの糞のようなコロコロとした便硬い水気のない便
血便/黒色便血が混じった便
脂肪便ギトギトの油膜が浮く

なぜ便の性状が変わるのか

腸は、さまざまな影響を受けています。便の性状が変わる具体的な要因として、細菌やウイルスをはじめとした感染による腸の炎症や疾患、腸内細菌バランスの乱れ、食生活、脱水、ストレスなどが挙げられます。

粘液便とは?

粘液便とは、便の中にゼリー状の粘液が混じっている状態です。腸の粘膜には、有害物質や物理的な刺激から自身を守るための防御機能が備わっています。腸粘膜から分泌される粘液は、便の移動を助ける潤滑剤の役割をしています。これは、目の粘膜を保護する涙や、鼻腔を守る鼻水と同じような「バリア」の役割を果たしています。腸の炎症や、疾患、腸内細菌のバランスの乱れ、刺激によって過剰に分泌された粘液が便とともに出たものが粘液便で、何らかの病気の兆候である可能性があります。

粘液便の色から予想される原因

粘液の色は、腸内で起こっていることを知る上で重要な手がかりとなります。

透明な粘液

本来の粘液の色は無色透明です。

そのため、透明な粘液の付着は、比較的軽度な刺激によるものが大半です。精神的なストレスや体の冷え、あるいは一時的な消化不良によって腸が過敏になり、粘液分泌が過剰になったときに見られます。基本的には、経過観察で問題ないことが多いです。

白色の粘液

本来の粘液が濃縮したり、白血球が含まれたりする場合に白っぽい粘液になります。

便秘の場合には、腸内に長く留まった透明な粘液が濃縮されて、白く見えることもあります。また、腸の炎症などで腸粘液中に白血球が出ると、膿が混じることで白く見えます。

後述する潰瘍性大腸炎や薬剤性腸炎などで白血球が出ていることもあるため、数日続く場合や、発熱・腹痛といった症状もある場合には受診を検討しましょう。

ピンクの粘液

粘液に、ごく少量の血液が混じってピンクに見えている状態です。主に直腸や肛門付近の粘膜が、硬い便の通過などでわずかに傷ついた際に生じるため、切れ痔や、いぼ痔といった疾患でよく見られます。しかし、腸の中で出血しているケースもあります。痔の心当たりがない場合やピンクの粘液便が続く場合には受診しましょう。

黄色・緑色の粘液

胆汁は肝臓で作られる消化液で、本来は腸で適切に分解・処理されることで便が茶色になっています。しかし、感染性腸炎などの急激な炎症によって腸の動きが速まると、胆汁が十分に分解されないまま排出され、黄色や緑色の粘液便が出ることがあります。

黄色の粘液便は、胆汁が分解される前に急速に排出される場合や、高度の下痢がある場合に見られます。緑色の粘液便は、胆汁が酸化したり、腸の動きが非常に速くなったりすることで胆汁の再吸収が不十分になった場合に見られます。

数日続く場合や、水分が摂取できない場合には受診しましょう。

赤色の粘液

粘液に新鮮な血が混じって赤く見えている状態です(粘血便)。主に大腸からの出血を意味し、原因特定と治療方針の決定を急ぐ状態です。大腸にできた腫瘍(しゅよう)から出血している可能性のほかに、潰瘍性(かいようせい)大腸炎などによって腸で出血をともなうほどの激しい炎症が起きているおそれがあります。自己判断せず、すぐに受診しましょう。医療機関では、貧血の有無を確認する他、大腸カメラで直接状況を確認して治療方針を決定することができます。

粘液便の時に考えられる疾患

粘液便を起こす疾患はさまざまあります。それぞれの特徴を確認しましょう。

感染性腸炎(細菌・ウイルス)

サルモネラや大腸菌、カンピロバクターなどの細菌やノロウイルスなどが腸に感染して、粘膜に炎症を起こす疾患です。下痢や激しい腹痛をともなうことが多いです。

炎症により粘液分泌が増加します。激しい炎症で胆汁の分解ができず緑色の粘液便が出たり、粘膜から出血して粘血便が出たりすることもあります。特に、アメーバや出血性大腸菌による感染症では、赤色から暗赤色のイチゴジャムのような粘血便が特徴的です。

過敏性腸症候群(IBS)

腸の機能異常によって症状が現れる疾患で、ストレスや自律神経の乱れが影響します。腹痛やお腹の張り、下痢と便秘が交互に現れることもあります。

腸の動きが過剰になることで、粘液分泌が過剰になって、透明〜白色のゼリー状の粘液便が出ます。基本的に血便になることはありません。

炎症性腸疾患(IBD)

腸粘膜に原因不明の慢性的な炎症や潰瘍がおこるものです。長期にわたる腹痛や、ひんぱんな下痢に加えて、体重減少、発熱といった全身症状も現れます。潰瘍性大腸炎やクローン病が代表的です。

激しい炎症のために大量の粘液が分泌され、潰瘍になった部分からの出血と混じって粘血便を繰り返すのが特徴的です。

大腸ポリープ・大腸がん

大腸の粘膜に良性または悪性の腫瘍が発生する疾患です。初期段階では、自覚症状がほとんどなく、進行しても痛みを感じないことが多いのが特徴です。進行した場合には、狭くなった腸を通過することで便が細く出たり、便秘になったりします。

腫瘍の表面が便とこすれて傷つき、腫瘍や粘膜から分泌される粘液と血が混じります。これが赤から暗赤色、あるいは黒っぽい粘血便として出ることがあります。

粘液便が続く時の受診目安

一時的な粘液便であれば経過観察で良い場合もあります。 しかし、以下の症状も現れている場合は、早めに消化器内科を受診してください。 

  • 粘液便が3日以上続く、または繰り返す
  • 37.5℃以上の発熱
  • 激しい腹痛、嘔吐
  • その他の全身の症状が出ている
  • 原因不明の体重減少(6ヵ月以内に体重が5%以上減少している)

粘液便の診断方法と流れ

粘液便の正確な原因を特定するため、病院では段階的な検査をおこないます。負担の軽い確認や検査から始めて、必要に応じて精密検査に進むのが基本です。

 問診便検査血液検査大腸カメラ(内視鏡)
わかること症状の全体像、生活習慣など血便や感染の有無炎症の程度、貧血、アレルギー抗体腸内部の病変を直接確認
診断精度高(確定診断)
位置付け方向性を決める方向性をさらに限定する全身の状態を確認する病変を直接的に観察して診断と治療方針を確定する

1.問診

まず問診で、発症時期や粘液の色、一日に何回排便しているか、腹痛や発熱などの一緒に出ている症状がないかなどを確認します。経過のメモや便の写真があると役立ちます。診断と治療の方向性を大まかに決めます。

粘液便との関連:
粘液の色、便秘や感染のサインがあるかなどから原因についておよそのあたりをつけます。

2. 便検査

血液(潜血)や細菌の有無を調べます。真っ黒な便や血のような赤い粘液が混じっておらず、見た目には普通の便であってもごくわずかな血が混じっていることがあります。これは、例えば腸にできているがんやポリープなどからの出血を早い段階でチェックするのに有効です。問診で得た情報から、さらに方向性を絞る段階です。

粘液便との関連:
出血の有無から腸の状況を推測します。出血がある場合には、より詳しい検査が必要と判断されます。

3. 血液検査

炎症やアレルギーの反応を確認することができるほか、脱水の程度などもわかります。炎症が起こっている場合には、CRP値(炎症がある場合に体内で作られるタンパク質の値)などの炎症反応を確認します。アレルギーが疑われる場合には、アレルギー反応で上昇する白血球やアレルゲンに対する抗体を確認します。全身状態を確認するとともに、アレルギーなどでは確定診断も視野に入ってきます。

粘液便との関連:
粘液や便に血が混じることで貧血になっている場合は、持続的に出血していることが推測できます。必要に応じて腸の中の出血源を特定する検査(大腸カメラ)に進みます。

大腸カメラ(内視鏡)・生検

肛門から挿入する大腸カメラで腸内部を直接観察します。炎症の程度や腫瘍の有無を正確に診断できます。また、観察と同時に、粘膜などの組織を採取して詳しく検査(生検)することもできます。採取した組織は顕微鏡で詳しく観察して、診断に役立てられます。

直接的に病変を観察できるメリットは大きく、診断精度がもっとも高く治療方針も確定します。

粘液便との関連:
粘液便の原因を直接確認して、状況を正確に把握することができます。小さな腫瘍なども高確率で発見することができます。また、自覚症状を目安に治療を進めるより客観的な状態を目安に治療を進めることができ、確実性が高いです。

粘液便の治療方法

診断結果に基づいて、原因に対する根本的な治療をします。

感染症

原則的に対症療法です。安静にして、必要に応じて整腸剤や水分補給をおこないます。細菌性腸炎を強く疑う場合、全身状態に応じて抗生物質を使用する場合があります。

下痢はウイルスや細菌を排出する反応です。下痢止めを飲むとこの働きを邪魔してしまうため、自己判断で使うのは避けてください。

過敏性腸症候群(IBS)

ストレスなどによって、腸の運動が活発になったり低下したりする病気なので、生活習慣の改善とともに、腸の運動を調整する薬を用いて治療をおこないます。

便秘

便が水気を含んで柔らかくなるように、普段の水分摂取を心がけたり、緩下剤を用いたりして便を柔らかくし、排便をスムーズにします。

炎症性腸疾患(IBD)

潰瘍性大腸炎やCrohn病に対しては5-ASA製剤と呼ばれる基本的な薬剤に加え、ステロイドや免疫抑制剤などを使用する場合があります。また、ステロイドや免疫調節薬などの炎症を鎮める薬を使用します。良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患のため、定期的に内視鏡検査を受けることも早期発見と早期治療のために重要です。

日常で気を付けたいポイント

日常生活で気を付けられることについてご紹介します。

8.1   水分補給

粘液便や下痢が続くと、水分とミネラルを失うため、水分補給が大切です。経口補水液は体液に近いバランスになっており、吸収されやすく脱水予防に有効です。

一度に大量に飲んでも吸収できないため、少量ずつこまめに摂取すると、効率よく水分を補給することができます。

8.2   お腹にやさしい食事

腸に炎症がある場合には、腸に負担の少ない食事をしましょう。からいものや脂っこいものは粘膜を刺激して、症状を悪化させる可能性があります。うどんやおかゆ、豆腐、卵料理などの低脂肪で刺激の少ない食品を摂りましょう。

消化に良いものでも、水分同様、少量ずつ体調をみながら食べましょう。

8.3   乳酸菌・食物繊維の調整

腸内の炎症があるときには、腸内細菌のバランスも乱れがちです。乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品は、腸内環境を整えるのに役立ちます。ただし、食物繊維には注意が必要です。便秘では有効なこともありますが、炎症が起きているときには腸を刺激して症状を悪化させる恐れがあります。状況に合わせて調整しましょう。

8.4   ストレスケア

ストレスは自律神経を乱して、腸の働きに影響するため、ストレスケアも重要です。ストレスのもとを避け、十分な睡眠、軽い運動、リラックス法などを取り入れて、日頃からストレスを溜めないようにしましょう。

8.5   アルコールやカフェインを含む飲料を控える

アルコールやカフェインは腸粘膜を刺激します。症状が悪化したり、下痢を起こしたりする原因になります。少なくとも腸の調子が悪い間はノンアルコール、ノンカフェインのものに切り替えましょう。

便の変化は“早期発見”につながる重要なヒント

粘液便は、必ずしも重篤な病気を意味するわけではありません。しかし、「腸の不調」を知らせる大事なサインであることには違いありません。特に、血便や腹痛をともなう場合は、重大な疾患の初期症状である可能性もあります。自己判断で市販薬を飲んだり放置したりせず、必要に応じて受診し、適切な検査を受けることが、将来の健康を守る確実な方法です。

この記事を監修した人

嶋吉 章紀

西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 COKU 消化器内科部長

  • 資格:
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本肝臓学会専門医 など
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