みぞおちの痛みは、日ごろよく経験する症状のひとつです。少し食べ過ぎたかもと様子を見る方も多いですが、実はみぞおちの周りには胃だけでなく大切な臓器がたくさん集まっています。そのため、みぞおちが痛む原因は、食生活の乱れから早急な治療が必要な病気まで実にさまざまです。
この記事では、みぞおちが痛くなる原因や考えられる病気、どのようなときに病院へ行くべきかの目安をわかりやすく説明します。みぞおちが痛んで困っているとき、ぜひ参考にしてください。
みぞおちがキリキリと痛んだり、重苦しかったりするのは本当につらいですね。みぞおちが痛くなるのは、生活習慣や病気が原因である場合もあります。どのようなことが原因となるか、わかりやすく解説します。
毎日の食生活は、みぞおちの痛みととても深い関係があります。
まず、消化の悪い食事は胃に負担をかけてしまいます。例えば、脂っこい食事や食べ過ぎ、飲み過ぎ、極端に熱いものや冷たいもの、からいものやカフェインなどの刺激物は、胃に負担をかける食事です。また、よく噛まずに食べることも胃への負担となってしまいます。
心と体は密接につながっており、精神的なストレスによってみぞおちの痛みが起こることがあります。私たちの体には、内臓の働きを無意識のうちに調整してくれる自律神経という仕組みが備わっています。強いストレスを感じると、この自律神経のバランスが崩れてしまいます。すると、胃酸が出過ぎてしまったり、胃の動きが悪くなっていつまでも食べ物が胃に残ってしまったりします。
このような状態がみぞおちの痛みにつながり、重苦しい痛みを引き起こす原因となります。
喫煙・飲酒は胃にダメージを与え、みぞおちの痛みを起こす原因となります。
タバコに含まれるニコチンという成分には、血管を収縮させる働きがあります。これにより胃の血流が悪くなると、胃の機能が落ち、胃の防御機能が落ちて胃が荒れやすくなり、みぞおちの痛みが起こります。
また、アルコールは胃の粘膜を直接刺激して傷つけてしまいます。胃が刺激されると、胃酸が過剰に出過ぎたり、胃の運動機能が落ちたりしてしまい、胃の粘膜が荒れ、みぞおちが痛んでしまいます。特に、胃がからっぽの状態ではアルコールの刺激が強くなり、胃は大きなダメージを受けてしまいます。
みぞおちの痛みには、日々の生活習慣だけでなく、内臓そのものの病気が原因で起こることもあります。
みぞおちの周辺には、胃や十二指腸だけでなく、胆のう、膵臓(すいぞう)、さらには心臓といった多くの大切な臓器が集まっています。これらの臓器に炎症が起こったり傷ついたりすることで、みぞおちの痛みが起こることがあります。
食べ過ぎやストレスのせいだろうと自己判断せず、症状が続くのであれば早めに医療機関へ相談しましょう。

それでは、みぞおちが痛むときはどのような病気が考えられるのでしょうか。原因はさまざまなものが考えられますが、代表的な病気を解説します。
急性胃炎とは、暴飲暴食や飲酒などで胃の粘膜が傷つき、炎症が起こってしまった状態です。炎症が起こると胃の粘膜が荒れてただれ、みぞおちに痛みが起こります。痛みのほかに、胃のむかつきや吐き気が起こることもあります。
胃潰瘍(いかいよう)は、胃の粘膜に潰瘍が作られることで、食事中や食後、みぞおちに重苦しい痛みが起こります。この胃潰瘍は、食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレス、ピロリ菌の感染などによって胃の粘膜がただれることが原因でみぞおちの痛みが起こります。また、痛むだけでなく、吐き気や下痢が起こることもあり、ひどいと嘔吐や吐血、下血を起こすこともあります。
みぞおちの痛みが続いているにもかかわらず検査を受けても原因となる異常を特定できない場合、機能性ディスペプシアと診断されることがあります。胃や十二指腸が過敏になっている、精神的ストレス、胃酸の出過ぎ、生活習慣の乱れなどが原因と考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を傷つけることでみぞおちの痛みが起こります。十二指腸はもともと胃酸に対する抵抗力が弱い臓器です。そのため、胃酸の量が増えて十二指腸に流れると、十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍を作りやすくなります。
胃潰瘍と似ていますが、胃潰瘍は食後に痛みが起こりやすく、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に痛みが起こりやすいのが特徴です。また、十二指腸は胃に比べて壁が薄いため、壁に穴が開く「穿孔(せんこう)」のリスクが高い傾向にあります。
胆石症とは、胆のうや胆管に石(コレステロールなどが結晶化したもの)ができる病気です。石があるだけでは症状は起こりませんが、石が胆のうの出口にはまり込んだ場合に痛みが生じます。これを胆石発作といいます。みぞおちからお腹の右上のあたりに急に激痛を感じ、数十分から数時間たつと一旦痛みが良くなることが特徴です。胆石発作は、脂肪分の多い食事を摂ると起こりやすいとされています。
胆嚢内の結石が総胆管に流れ落ちて、総胆管を閉塞させてしまうことでおこる病気です。肝臓で作られた胆汁はこの総胆管を通って十二指腸に流れるのですが、医師により詰まってしまい流れなくなると胆汁の流れが滞り、黄疸(目や体が黄色くなる)が起こることがあります。この状態に炎症が加わると胆管炎となり重篤な状態になることもあります。
総胆管結石症では特殊なカメラにより結石除去をすることが近年は一般的で、つよいみぞおちの痛みに黄疸がある場合ははやく受診することが大切です。
胆のうに炎症が起こると胆のう炎を起こします。胆のう炎の原因で多いものとして、胆石によって胆汁が流れている胆のう管が詰まってしまうことが挙げられます。胆汁の流れが悪くなると、細菌が繁殖し、急激な炎症が起き、みぞおちからお腹の右上のあたりに強い痛みを起こします。炎症が悪化すると熱が出ることもあります。
胆のう炎は、炎症の程度や緊急度に応じて、抗菌薬や緊急手術、緊急ドレナージ(管を入れて膿を排出)などの治療がおこなわれます。
実は虫垂炎でもみぞおちが痛くなることがあります。虫垂とは、大腸のはじまりの部分から伸びている小さな袋状の臓器で、お腹の右下にあります。ここに何らかの炎症が起こった状態を虫垂炎といいます。
虫垂炎は、最初はみぞおちの痛みや吐き気ではじまります。徐々にその痛みが右の下腹部へ移動し、症状が進行するにつれて痛みが増します。さらに進行すると、虫垂に穴があき、お腹全体に強い痛みを起こす腹膜炎を発症する場合もあります。
虫垂炎と診断された場合は、手術や抗菌薬による治療がおこなわれます。
膵臓は、胃の後ろにある臓器です。膵臓に急激な炎症が起こることを急性膵炎といいます。
急性膵炎は、脂肪分の多い食事を食べたりお酒を飲み過ぎたりしたあとに突然、みぞおちや背中に痛みを感じることが特徴です。とても強い痛みで、通常は体をまっすぐに保つことができず、うずくまるような姿勢になります。進行すると、膵臓の炎症がお腹全体に広がり、冷や汗、めまいなどの症状、意識が低下するなど命の危険がある場合もあります。
急性膵炎と診断された場合は、点滴、消炎鎮痛剤、抗生物質などによる治療がおこなわれます。
心筋梗塞は、心臓自体に血液を送る冠動脈という血管がつまり、心臓の筋肉が壊死(えし)してしまう病気です。みぞおちや胸が締め付けられるような痛みが起こります。首やあご、肩、腕などに痛みが出たり、胸やけが起こったりする場合もあります。症状は30分以上続き、時には冷や汗をともなうこともあります。
心筋梗塞はすぐに治療が必要な病気です。強いみぞおちの痛みがある場合、我慢せずに病院を受診しましょう。
みぞおちの痛みは、少し様子を見れば良くなるだろうと思いがちですが、中には危険な病気が隠れている場合があり、早急な対応が必要なこともあります。
以下のような症状がある場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診してください。
病院を受診する際は、まずは消化器内科にかかるのがおすすめです。消化器内科は、みぞおちの周りにある胃や腸、胆のう、膵臓などの専門家ですので、みぞおちの痛みで困ったら消化器内科を受診しましょう。

みぞおちの痛みがあるとき、痛みの原因がどこにあるのかを調べるために、症状に応じて以下のような検査がおこなわれます。それぞれの検査で何がわかるのかを説明します。
血液検査では、体の中で炎症が起きていないか、肝臓や膵臓の働きに異常がないかなどを数値で確認します。どの臓器による症状かを推測する大きな手がかりになります。また、胃潰瘍から出血している場合は、貧血の程度なども調べることができます。
お腹の表面にゼリーを塗り、機械を当てて体内の状況を確認する検査です。
この検査では、特に胆のうの状態を確認できます。胆石があるかどうかや、胆のう炎で胆のうが腫れていないかを詳しく調べます。
CTでは、体の断面図を細かく撮影し、体内の状況を詳しく調べます。胆のう、膵臓、虫垂などの体の臓器の状況や炎症の程度をより詳しく調べることで、より正確な診断に役立ちます。
胃の状態を詳しく調べるためにおこないます。
粘膜が荒れていないか、潰瘍ができていないかをカメラで直接確認するため、胃炎や胃潰瘍の診断のためには重要な検査です。
みぞおちの痛みは胃炎やストレスだけでなく、胃潰瘍、急性膵炎、心筋梗塞など、実は思いもよらない病気が隠れている場合があります。
西宮敬愛会低侵襲治療部門COKU鼠径ヘルニア・内視鏡センターは、一人ひとりの症状にあわせて丁寧に診察し、適切な治療を提案します。また、胃カメラは安心して検査を受けられるよう、最新の機械や鎮静剤を使い、患者さまに負担の少ない検査を心がけています。さらに、手術が必要な場合は、日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会高度技能医や日本内視鏡外科学会技術認定医の資格を有する消化器外科医が担当し、より確実な手術を心がけています。
みぞおちの痛みが続く場合や、痛みが強い場合など、おかしいと思ったらぜひご相談ください。