大腸カメラ(=大腸内視鏡)検査の前には下剤の服用が必要です。
以前は近年、下剤は量が少なくて済むものや錠剤タイプなども出てきており、以前に比べて服用がしやすくなっています。
(当院で使用している薬剤についてはブログ 「大腸カメラの検査前の下剤」を参照ください)
初回の大腸カメラ検査の方については、安全を考えて通常通り口から服用頂いており、ほとんどの方は検査が完遂できます。
しかし、味や量の問題でどうしても下剤を飲みきれない方もいらっしゃいます。
そういう方のために、西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 COKUでは「下剤を飲まない大腸カメラ」を行っています。
「胃カメラで直接十二指腸の奥へ下剤を注入する」ことで、当日の大量の下剤の服用を避けることが可能です。
胃カメラと大腸カメラの同意書などの流れについて説明し、同意書をお渡しする必要がありますので、まずはネット予約やお電話(0798-64-0059)にて診察予約をお取りください。
診察室で、患者様と日程ご相談の上、胃・大腸カメラの予約をお取りします。
予約当日午前中に絶食でお越し頂き、点滴をとって鎮静剤を使用して、眠った状態で5.8mmの細径カメラを十二指腸まで挿入し、下剤を注入します。
挿入範囲の食道・胃・十二指腸の観察も行います。
目が覚めてから排便が始まりますので、目安として胃カメラ終了後2時間程度で大腸カメラ検査が可能な状態となります。
再度麻酔を使用して大腸カメラを行い、リカバリールームで麻酔を覚ましてから帰宅となります。
1.下剤を口から飲む必要がない。
2.胃カメラも同時に行い、食道・胃・十二指腸の観察が行える
下剤がつらい方にとっては1が最も大きなメリットでしょう。
1.大腸カメラ前に服用する下剤の副作用である腸閉塞が起きた場合、重症化しやすい恐れがある。
2.胃カメラを受ける必要があり、その分の体の負担や合併症のリスクが増える。
3.胃カメラ分の費用がかかる(胸やけ、胃痛や膨満感、胃部不快感など、保険適応になる症状や身体所見などがない方の場合、胃カメラの費用は人間ドックと同じ20000円となります)
メリットばかりではなく、デメリットも鑑みる必要があります。
やはり最も懸念する必要があるのは1です。
非生理的な経路で下剤を注入しますので、口から下剤を飲んで起きた腸閉塞に比べて重症化する恐れがあります。
これを理由として、当院では今まで口から下剤を飲んだことがない方については、下剤を飲まない大腸カメラはお勧めしていません。技術的にできないことはないのですが。
近年の下剤はかなり工夫がされており、量も減っているため、一度は口から飲んでみて頂くようにお願いしています。
大腸カメラをなるべく多くの方が受けることで、大腸癌死亡は減らせます。
大腸カメラ前の下剤について、ネガティブな話を広げたくはありませんが、口から下剤がどうしても飲めない方は体感として1%未満ですが、事実いらっしゃいます。
そういう方が大腸カメラを受ける機会を逸しないために、下剤を飲まない大腸カメラを提供いたします。
以前に服用した下剤が嫌なので大腸カメラを受けたくない!という方は是非当院へご相談ください。
西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 COKUでは、すべての方になるべく楽に大腸カメラを受けて頂けるような環境づくりに努めています。
文責 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器内科部長 嶋吉 章紀