当院では鼠径ヘルニア(脱腸)手術や胆のう結石、胆のうポリープなどの胆のう疾患に対して腹腔鏡下手術を中心に行っております。はじめて手術を受けられる方も多く、「手術」に対して不安を感じる方もいらっしゃると思います。
私たちの少しでもその不安を軽減するために、医師・看護師・事務職チーム一丸となって患者さん一人ひとりに丁寧でわかりやすい手術説明を心がけています。
手術は多くの患者さんにとって不安なものです。そのため、病気の説明や手術の目的、合併症のリスク、術後の経過などについて詳細な説明を行い、病気や手術に対して具体的なイメージを持っていただきます。
正しい知識をお伝えすることで、病気そのものへの不安や、病気や手術に対して「わからない、想像できない」という不安を解決することができます。
また手術を受けていただく際には十分に納得していただく必要がありますが、そのためには丁寧な説明を行いしっかりと理解いただくことがかかせません。
まずはお話を聞いたのちに、診察や検査を行い、病気のことや手術のことをお話します。
具体的なイメージがつきやすいように、例えばCT検査を行った場合は、病気の部位をお示ししながらご説明します。
また実際の手術時の画像やわかりやすく書いたイラストを用いた疾患ごとの資料も使いながら説明を行います。鼠径ヘルニアでは言葉ではなかなか伝わりにくい「お腹の底の穴」といった表現も、実際の写真をみていただくと理解しやすいと思います。また当院での術式の選択のフローチャートや、TEP法とTAPP法の違いについても記載しています。胆のう手術では、胆のうがどのような場所にある臓器なのかなどわかりやすく記載しています。
手術の説明文書では細かい内容まで記載されていますので、抜粋して大切なところをお話します。手術では合併症の話も必ずさせていただきます。どれだけ丁寧に手術を行っても合併症は一定の割合で起こり、すべてを回避することはできません。しかし、記載内容どおりの一辺倒な説明ではなく、患者さんそれぞれのリスクを予想して説明を行います。
術後の経過では、お仕事やスポーツなどの内容をお聞きして、いつから再開するのがよいかといったことも一緒に相談させていただきます。
手術前にお渡しするパンフレットでは、手術日のながれや手術日までに気を付けることなどを記載しています。
また手術当日に守っていただくことは裏面にわかりやすく記載し、最終の飲水時間や中止薬剤など一目で見てわかるようにしています。
また、手術後の説明の際には、実際に手術中の腹腔鏡画像をキャプチャーして、どこにどのような病気があってどのように治療したかをスライドにしてお見せしながら説明いたします。
受診前から当然いろいろなご不安があると思います。もちろん診察時に医師に直接お話していただくことがダイレクトに伝わるのですが、事前に伝えておきたいことなどは、問い合わせフォームや予約時のフリーコメントに記載していただいてもかまいませんし、電話での予約時にはその旨をお伝えいただいてもかまいません。
日帰り手術がよいか入院がよいかもぜひご相談ください。当院では日帰り手術を選択されても、術後にもし気分不良などがある場合にはそのまま入院していただくこともできます。
手術のオリエンテーションでは看護師から当日のながれなど具体的な説明もあります。その際に心配事などを伝えていただいてもかまいません。費用面や高額療養費制度の適応額などは事務の方でご相談に乗らせていただきます。
われわれチームでしっかりとコミュニケーションをとり、患者さんの安全・安心のために解決できるように対応したいと思います。
われわれ外科医は今までに癌の手術や緊急手術など多く携わってきました。その経験からも手術の説明は手術そのものと同じくらい大切です。自分が同じ立場で、不安や疑問が残ったまま手術を受けるというのは想像しただけでも足がすくみます。当院で治療を行う疾患のほとんどは手術の時期を待てる疾患です。そのため十分に理解して納得されてから手術をうけていただきます。受診後に少し時間をおいて考えたいという場合にはそのようにおっしゃっていただければかまいません。
どんな質問でもかまいませんので、お気軽にご相談ください。
文責/医療監修 西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 消化器外科部長 三賀森 学