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胃が気持ち悪いときに考えられる病気や対処法、検査を受ける目安について

2025.11.20

「なんとなく胃がむかむかする」「食後に胃が気持ち悪い」と感じて、日々の生活に支障をきたしていませんか?

胃の気持ち悪さや不快感は、ストレスや食べ過ぎなど一時的な原因で起こることもありますが、胃潰瘍(いかいよう)や逆流性食道炎など、病気が隠れているケースも少なくありません。

この記事では、「胃が気持ち悪い」と感じる主な原因や、自己判断が難しい隠れた病気について詳しく解説します。さらに、すぐにできる症状緩和のための対処法や、医療機関を受診すべき目安についてもご紹介します。

1.「胃が気持ち悪い」と感じる原因

胃が気持ち悪いと感じる際は、胸やけや胃もたれ、または吐き気があるといった症状がみられます。このような症状が起こっているとき、実際に胃の中でどのような現象が生じているのでしょうか。「胃が気持ち悪い」と感じる原因について考えられるのは主に以下の3つです。

・胃酸の逆流

・胃の運動や消化機能の低下

・他の病気による作用

それぞれ解説します。

1.1 胃酸の逆流

胃酸の逆流は、食道に炎症を引き起こし、胸部からみぞおちにかけて感じる灼熱感や不快感として現れます。これが「胸やけ」といわれる症状です。

本来、胃の入り口は筋肉(下部食道括約筋 かぶしょくどうかつやくきん)によって逆流しないように閉まっており、食べ物を飲み込んだときにだけ緩む仕組みになっています。ところが、何らかの原因で、飲み込むとき以外にこの筋肉が緩むと、食べ物や胃酸が食道へ逆流してしまいます。逆流した胃酸が食道を刺激して炎症を引き起こすのが、「胸やけ」の原因です。

胃酸の逆流は、食べ過ぎや脂肪分の多い食事、アルコール、ストレスなどが要因となります。

1.2 胃の運動や消化機能の低下

胃の運動や消化機能の低下は、胃の張りや不快感などの症状を引き起こします。これが「胃もたれ」といわれる症状です。

胃は食べ物を一時的にためて、胃液と混ぜ合わせ、適切なタイミングで十二指腸へ送り出す役割を担っています。この機能が低下すると食べ物を適切なタイミングで胃から十二指腸へ送り出せなくなり、内容物が長時間胃に留まってしまうことで「胃もたれ」が生じるのです。

胃の運動や消化機能の低下は、食べ過ぎや早食い、脂肪分の多い食事、飲酒や喫煙などによって生じます。また、ストレスによる自律神経の乱れで、胃の働きが鈍ったり、胃酸の分泌バランスが崩れたりすることも原因です。

1.3 他の病気による作用

胃が気持ち悪いと感じるのは、胃や腸に何らかの病気が隠れていることも考えられます。特に、食べ過ぎや飲み過ぎなど、特別な負担をかけていないのに症状がある場合は、胃や腸の病気のサインかもしれません。他の病気が疑われる場合は、早急に医療機関を受診するようにしましょう。

2. 胃が気持ち悪いときに考えられる病気など

胃が気持ち悪いときに考えられる主な病気などは以下の通りです。

・急性胃炎

・腸閉塞(ちょうへいそく)

・虫垂炎

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍

・逆流性食道炎

・胃がん

・胃腸炎(ウイルス・細菌性)

・機能性ディスペプシア

・薬の副作用

それぞれ解説します。

2.1 急性胃炎

急性胃炎は、暴飲暴食、過剰なストレス、または特定の細菌感染などにより、胃粘膜に急性の炎症が起こる病気です。胃に炎症が起こると、胃粘膜が赤く腫れたり、一部がただれたりする現象がみられ、胃の運動や消化機能が急激に低下します。その結果、突然の強いむかつきや吐き気、みぞおちの痛みといった症状が現れるのです。

2.2 腸閉塞

腸閉塞は、 何らかの原因で小腸や大腸が詰まり、食べ物や消化液、ガスなどが流れなくなり、腸管内に溜まってしまう病気です。腹部の手術歴がある方に発生しやすい特徴があります。腸が詰まると、その内容物が逆流して胃にまで溜まってしまい、胃の気持ち悪さ、激しい腹痛、吐き気・嘔吐(おうと)、胃の強い膨満感といった緊急性の高い症状を引き起こします。

2.3 虫垂炎

虫垂炎は盲腸の先端にある虫垂に炎症が起こる病気で、「盲腸」とも呼ばれます。放置すると腹膜炎など重篤な病気になってしまうことも少なくありません。

炎症が始まった初期の段階では、胃のむかつきやみぞおちの痛みとして症状が現れるのが特徴です。病状が進行するにつれて、痛みは徐々に右下腹部に移動します。

2.4 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素によって胃や十二指腸の粘膜が深く傷つけられ、組織が欠損してしまう病気です。主な原因として、ピロリ菌感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用が挙げられます。潰瘍によって粘膜の損傷が生じると、胃の知覚過敏や炎症を引き起こし、持続的な不快感や胃もたれを招きます。胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みが出やすいのが特徴です。

2.5 逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ慢性的に逆流することで、食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。胃の入り口を締める筋肉(下部食道括約筋)の緩みが主な原因となります。

胃酸が食道を刺激すると、胸やけや呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感覚)が生じ、これらが胃のむかつきや不快感、吐き気として感じられるのが特徴です。

2.6 胃がん

胃がんは、胃の粘膜に発生する悪性の腫瘍です。早期発見できれば高い確率で治癒が可能ですが、進行すると周囲の組織に転移するリスクが高まります。

進行したがんが胃の出口(幽門)付近を塞いだり、胃の動きを鈍らせたりすることで、食後の胃もたれや吐き気、慢性的な胃の不快感が続くことがあります。特に体重減少や貧血をともなう場合は、早急な検査が必要です。

2.7 胃腸炎(ウイルス・細菌性)

胃腸炎は、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスや、サルモネラ菌、O-157などの細菌感染により、胃や腸に炎症が起こる病気です。感染経路は、食べ物や接触などが挙げられます。 病原体が胃や腸の粘膜に炎症を起こし、消化管の動きを過剰に刺激します。これにより、激しい吐き気や嘔吐、それにともなう胃のむかつきや不快感が主要な症状として現れることが一般的です。

2.8 機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、胃カメラなどの検査で潰瘍や炎症といった器質的な異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な胃もたれや胃の痛みが続く病態です。胃の運動機能異常や知覚過敏が主な原因と考えられています。

食べ物を消化して十二指腸に送り出す胃の蠕動運動(ぜんどううんどう)がうまく機能しないため、食べ物が胃に長く留まります。これにより、胃もたれや膨満感、食後の胃の不快感が常態化しやすいのが特徴です。

2.9 薬の副作用

薬の副作用は、薬物療法において、主作用とは異なる有害な反応が体に現れることです。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、抗生物質、鉄剤、一部の糖尿病薬、麻薬性鎮痛薬、抗がん剤などは胃粘膜を刺激しやすい性質を持ちます。また、これらの薬剤が胃粘膜を直接刺激したり、胃酸分泌を促したりして、胃の荒れやむかつきを引き起こすことがあります。薬の服用を開始してから胃の不調が出た場合は、副作用による可能性が高いでしょう。

3.胃の気持ち悪さを緩和・予防するには

胃の気持ち悪さを緩和・予防するには、横になって休息をとったり、市販薬で対処したりと、早めの対処が重要です。ここでは、胃の気持ち悪さを改善する方法と、胃を根本的に休ませるコツをご紹介します。

3.1 症状を和らげる方法

胃が気持ち悪くなったときには、横になって休息をとり、胃への負担を減らす行動が効果的です。自律神経の乱れが整い、胃の痙攣(けいれん)や過敏な動きの緩和効果が期待できます。ただし、逆流性食道炎の場合は胃酸が逆流しやすくなるため、枕を高くしたり、上半身を起こしたりして横になるとよいでしょう。

また、腹部の締め付けや、前かがみの姿勢を避けると胃の圧迫感が抑えられ、症状が和らぐ場合もあります。それでも症状が和らがない場合は、市販薬を服用するのもよいでしょう。胃酸を中和する制酸剤や、胃の粘膜を保護する成分を含む胃腸薬は、気持ち悪さの緩和に役立ちます。

3.2 胃を休ませるコツ

胃を休ませるには、胃に優しい食材の摂取が効果的です。脂質が多く、消化に時間のかかる肉類や揚げ物は避け、おかゆ、うどん、豆腐、白身魚など、低脂肪で消化の良い食事を心がけましょう。冷たいものは胃に負担をかけるため、温かいものをゆっくり摂るのがおすすめです。食べ過ぎは胃に最も大きな負担をかけるので、満腹になるまで食べず、腹八分目を意識したり、寝る前の2〜3時間は食事を避けたりするとよいでしょう。

また、軽めの運動はストレスの解消につながり、胃の改善にも役立つといわれています。食後の散歩など、軽い有酸素運動は、胃腸の動きを促し、消化を助ける効果が期待できます。ただし、激しい運動は避け、体調に合わせて無理のない範囲でおこなってください。

胃をしっかりと休ませるには十分な睡眠の確保も重要です。個人差はありますが、6〜8時間程度を目安にしっかりとよく寝て、胃腸の休息と修復を図りましょう。

4. 検査を受ける目安について

胃の気持ち悪さが改善しない場合は早めに医療機関で検査を受けることが重要です。検査を受けたほうがよい主な症状は以下の3つです。

・胃や胸の違和感が続く

・食事がしにくい・便の色がおかしい

・お腹のハリ・体重減少

それぞれ解説します。

4.1 胃や胸の違和感が続く

胃や胸の痛み、吐き気、胸焼けが続く場合は、慢性的な病気のサインかもしれません。

痛みが頻繁に起こる、または2週間以上気持ち悪さや胃もたれが続く場合は、慢性胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎などの可能性があります。早めに医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。

4.2 食事がしにくい・便の色がおかしい

食事中の違和感や便の異常は、消化管内で出血や通過障害が起こっているサインかもしれません。食べ物が喉や胸につかえる感じがする、または飲み込む際に痛みがあるといった症状は、食道炎や食道がん、進行した胃がんによる通過障害を示唆します。

また、便に鮮血や赤黒い血が混じっている場合は、胃や十二指腸、あるいは大腸から出血を起こしているかもしれません。潰瘍やがんの可能性もあるため、早期に検査が必要です。

4.3 お腹のハリ・体重減少

お腹のハリ、意図しない急激な体重減少は、深刻な病気の進行を示している可能性があります。
例えば、腹のハリや膨満感が続く場合は、消化器系であれば大腸がんや肝硬変、泌尿器系では膀胱がんや前立腺肥大症など、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。

また、食事量が減っていないにもかかわらず、急激に体重が減少している場合は、がんによる体力消耗や代謝の変化が原因かもしれません。原因を追及するためにも早めに検査を受けましょう。

5. 当院の胃カメラ検査について

当院では、患者さまの苦痛軽減と病変の見落とし防止に最大限配慮した胃カメラ検査を提供しています。 当院の胃カメラ検査の特徴を紹介します。

5.1 最新の内視鏡システムで検査

当院では、患者さまの負担を軽減するため、最新の内視鏡システムを導入しています。先端部径がわずか5.8mmと極めて細い高画質カメラ(EG-840N)を使用しており、患者さまの状態に合わせて鼻からでも口からでも挿入できる操作性の良さで、より精密な検査を実現します。また、超音波内視鏡検査にも対応しているため、消化管粘膜下腫瘍の詳細な観察もおこなうことができます。

5.2 忙しい方でも受診しやすい環境

ご希望に応じて、受診当日に内視鏡検査を受けることも可能です。午前だけでなく午後も予約を受け付けているので、検査日当日に結果を聞くこともできます。

また、平日に時間が取れない方のために、土曜日の内視鏡検査も受け付けています。胃・大腸カメラの同日検査も可能なので、スケジュールが忙しい方は、一日で胃と大腸の検査をおこなうことも可能です。

5.3 専門医による検査

経験を積んだ日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持った医師が、検査から治療まで一貫して担当いたします。

5.4 AIによる見落とし防止システム「CAD EYE」を導入

当院では、AIが病変のある場所を検出し、検出ボックスで囲んで表示する「CAD EYE」システムを導入しています。これにより、医師の見落としを防ぎ、腫瘍性病変の発見率の向上に貢献します。

5.5 鎮静剤(眠り薬)の使用

鎮静剤を使用することで、痛みを感じにくくさせ、うとうとしている間に検査を終えられるので検査中の苦痛を大幅に軽減できます。検査後は回復室でゆっくりお休みいただけます。

6.胃の気持ち悪さが続く場合は早めの受診を

胃の気持ち悪さが続く場合は、さまざまな病気の可能性が考えられます。なかには胃がんや腸閉塞など重篤な病気が隠れているかもしれません。何らかの症状が見られたら、早めに医療機関を受診することが大切です。


西宮敬愛会病院低侵襲治療部門COKUは、腹腔鏡手術および胃カメラ・大腸カメラによる診察・治療をおこなう専門の病院です。胃や腸の検査に欠かせない内視鏡検査は、消化器内視鏡専門医・指導医の資格を持つ経験豊富な医師が担当します。最新の機械や鎮静剤を使用し、患者さまの負担を最小限に抑えた検査が受けられます。胃の気持ち悪さが続く症状に不安がある方は、いつでもご相談ください。    

この記事を監修した人

嶋吉 章紀

西宮敬愛会病院 低侵襲治療部門 COKU 消化器内科部長

  • 資格:
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本肝臓学会専門医 など

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